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結論:夏休みは教員が副業するベストシーズン——ただし「申請あり」と「なし」を混同すると危険
夏休みの40日間、ほとんどの教員は「出勤しなくていい」と思っている。 でも法的には違う。
教員の夏休みは「有給休暇を全部使いきった無給の休み」ではなく、学校閉庁日・夏季休暇・年次有給休暇・研修日などが組み合わさった期間だ。 「勤務日である日」も含まれる。
だから副業のルールは夏休みだろうと変わらない。 地方公務員法38条の「任命権者の許可なしに営利企業に従事してはならない」という条文は、365日有効だ。
ただし、夏休みが副業に向いている理由も確かにある。
- 授業準備・生徒対応が激減するため、副業に使える時間が1日3〜5時間単位で確保できる
- 塾・予備校の夏期講習需要が最大値を迎えるため、教員スキルを持つ人材の引き合いが強い
- 申請さえ通っていれば、7〜8月の2ヶ月で年間副業収入の半分以上を稼ぐことも現実的
2026年4月に国家公務員の自営兼業制度が大きく緩和された。 地方公務員(=公立教員)への直接適用ではないが、多くの自治体がこの流れを受けて独自ルール改正を進めている。
この記事では、2026年現在の法制度を踏まえたうえで「何が申請不要か」「何を申請すれば許可されるか」「夏休み40日でいくら稼げるか」を元小学校教員の視点で整理した。
1. 教員の副業は2026年4月から大きく変わった
国家公務員の自営兼業、3分野→大幅拡大
2025年12月、人事院は「自営兼業制度の見直し」を発表した。 令和8年(2026年)4月1日から施行されている。
変更前の自営兼業の許可対象は以下の3分野のみだった。
- 不動産の賃貸
- 農業・林業・水産業(家業継承)
- 太陽光発電による電力売買
この3つに加えて、新たに2つの柱が追加された。
追加①「職員の有する知識・技能をいかした事業」 手芸品の販売、スポーツ・芸術関係の教室の開業などが具体例として示されている。 教員に置き換えると「自身の専門知識を活かした教育系コンテンツ販売」「音楽・体育等の専門性を活かした個人教室」なども射程に入る。
追加②「社会貢献に資する事業」 地域振興のイベント主催、高齢者の買い物代行など。 NPOや地域コミュニティ支援に関わる形での兼業も認められやすくなった。
承認要件は「通常の職務に支障が生じないこと」「国民からの信頼を損なわないこと」の2点が柱になっている。 開業届の提出と事業計画の作成が申請時に求められる。
公立教員(地方公務員)への影響——直接適用ではないが流れは変わった
重要な前提として確認しておく。 今回の制度改正は国家公務員の人事院規則の改正であり、公立教員(地方公務員)への直接適用はない。
公立教員の副業は地方公務員法38条によって規律されており、「任命権者(教育委員会)の許可」があれば営利企業等への従事が認められる、という枠組み自体に変更はない。
ただし、国の制度が緩和されると地方自治体も追随するケースが多い。 2025年6月11日付で総務省が発出した通達(総行公第72号「地方公務員の兼業に関する技術的助言」)では、地方公共団体に対して「地方公務員の副業・兼業に関する運用の弾力化」を促す内容が含まれていた。 複数の都道府県教育委員会が2026年度中に兼業規程の見直しを検討・実施している。
現時点での実務的な判断基準はこうだ。
- 従来から認められてきた「教育に関する兼業」(教特法17条)は引き続き許可が通りやすい
- 「知識・技能を活かした自営的な副業」については、自治体ごとに対応が割れており、早めに事務担当への確認が必要
- 「継続的・反復的な営利活動」については、たとえ国の基準が緩和されても、各自治体が独自に厳しめの基準を維持している場合がある
私立教員の場合
私立学校の教員は地方公務員ではないので、地公法38条は適用されない。 副業の可否は就業規則によって決まる。
多くの私立学校では「学校長の許可を要する」または「原則禁止」と定めているので、就業規則の確認が先決だ。 就業規則に明記がない場合でも、学校長への事前報告・相談は必須と考えたほうがよい。
教特法17条——教員副業の専用許可ルート
公立教員には「教育公務員特例法第17条」という専用のルートがある。
「教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することができる。ただし、給与を受け、又は継続して従事する場合においては、任命権者の許可を受けなければならない」
つまり、教育に関係する副業は一般の営利企業従事(地公法38条)よりも許可が通りやすい、という設計になっている。 塾講師・家庭教師・教材執筆などが許可実績として多いのはこの条文があるからだ。
2. 夏休みは「勤務日」だからこそ知るべき副業の境界
教員の夏休み、法的には何日なのか
保護者側からすると教員の夏休みは「7〜8月の約40日間まるごと休み」に見えるかもしれない。 実態は違う。
夏休み期間中の教員の勤務日程は、おおむね次の3種類で構成されている。
| 区分 | 日数目安 | 副業との関係 |
|---|---|---|
| 学校閉庁日 | 5〜8日(自治体差あり) | 職務命令なし、副業に使いやすい |
| 夏季休暇 | 3〜5日 | 特別休暇、副業可 |
| 年次有給休暇 | 取得分 | 原則として副業可 |
| 研修日・出勤日 | 残り全日 | 職務専念義務あり、副業NG |
「夏休みだから副業し放題」ではない。 在校中・研修中は職務専念義務(地公法35条)が発生しており、その時間帯に副業の業務連絡をするだけでも服務違反になり得る。
副業の稼働は「閉庁日・夏季休暇・年休取得日」に集中させることが基本だ。
「許可不要」と「許可必要」の線引き
副業の内容によって、申請が必要かどうかが変わる。
申請不要(今日からできる)
許可が必要(申請→承認後に開始)
- 塾講師・予備校講師(雇用形態問わず)
- 家庭教師(継続的・有償)
- オンライン家庭教師
- 添削・採点業務
- 教材執筆・ライター(継続的・有償)
- 講演・研修講師(有償)
- 教材・グッズ販売(継続的・営利目的)
線引きのポイントは「継続的か」「有償か」「営利目的か」の3点だ。 1回限りの謝礼・ボランティアは許可不要のケースが多いが、継続的に報酬を得る活動はほぼ全て申請対象になると考えたほうがよい。
年休消化中の副業は可能か
年次有給休暇は「労働義務が免除される日」なので、原則として副業に充てることができる。 ただし「副業のために年休を取る」行為自体を懐疑的に見る管理職も一定数いる。
副業そのものの許可を先に取っておくことで、「年休を副業に使うこと」の問題が実質的に解消される。 許可申請→承認→年休活用、という順序を守ることが重要だ。
3. 申請不要で今日からできる副業3選
「副業したいけど申請のハードルが高い」という教員は多い。 まずは申請不要でできることから始めるのが現実的だ。
1. 資産運用(NISA・iDeCo・投資信託)
投資は「副業」ではなく「財産の形成」として扱われる。 地公法の「営利企業への従事」には該当せず、申請不要で誰でも始められる。
特に教員に向いているのはNISAとiDeCoの組み合わせだ。
- NISA(新NISA): 年間360万円まで非課税投資、運用益も非課税
- iDeCo: 掛け金が全額所得控除、退職まで引き出せないが節税効果が大きい
- つみたて投資枠活用: 月3〜5万円の積立から始めても20年で資産倍増のシナリオがある
「元手がないから無理」と思う教員もいるが、毎月1万円でも積立を始めることに意味がある。 夏休みに副業で稼いだお金をそのままNISAに回す、という使い方が最も効率よく資産を増やす。
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2. ふるさと納税
ふるさと納税は「寄附」であり、返礼品は経済的利益だが「副業収入」ではない。 申請不要で、教員として働きながら毎年数万円〜十数万円分の実質利益を得られる制度だ。
年収600万円の教員が上限いっぱいにふるさと納税した場合、返礼品の実質利益は年8万円前後になる計算だ。 (住民税控除として翌年に還元される分を換算)
副業の「入口」として最も低リスクなのがふるさと納税といえる。
3. 単発・1回限りの謝礼(継続性のない講演料・原稿料)
教育委員会の研修会で1回だけ講師を頼まれた、PTA向けに1回講演した、教育誌に1本だけ原稿を寄稿した——こういった継続性のない単発の謝礼・原稿料は、申請対象外として扱われるケースが多い。
判断基準は「継続的・反復的に有償活動をしているか」だ。 年に1〜2回程度の単発であれば「営利企業への従事」には該当しないという解釈が一般的。
ただし、税金面では別ルートで注意が必要だ。
- 20万円ルールは「申告不要」であり「申請不要」ではない: 年間の副業所得が20万円以下なら所得税の確定申告は不要だが、これは申告ルールの話で、許可申請とは別物。継続的に有償活動するなら金額が小さくても申請対象になる。
- 住民税申告は別途必要: 所得税が申告不要でも、住民税は市区町村に別途申告が必要。「20万円以下だから何もしなくていい」は誤り。
「申告不要」「申請不要」「申告必要」「申請必要」の組み合わせを混同しないことが大事だ。
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4. 任命権者許可が必要な副業7実例(夏休み特化)
夏休みに教員が実際に許可を得て取り組んでいる副業7種類を紹介する。 各実例に「夏休み40日でいくら稼げるか」の現実シミュを添えた。
実例1: 塾講師・予備校講師(夏期講習特需)
夏期講習は7月下旬〜8月下旬に集中する。 この時期、大手・中小を問わず講師の人材不足になりやすく、現役教員・元教員の採用は引き合いが強い。
夏休み40日シミュ
- 時給: 2,000〜3,500円(教科・担当学年による)
- 週3日・1日5時間稼働: 月換算で約8〜12万円
- 週5日・夏期集中型: 月換算で約20〜30万円
採用の窓口は各塾への直接応募のほか、塾講師専門の求人サービス経由が一般的だ。 申請時の書類には「雇用先の名称・所在地・業務内容・給与額・勤務日数」を記載する必要があるため、採用確定後すぐに申請書類を整える段取りにしておく。
許可が通りやすい理由は教特法17条の「教育に関する兼業」に明確に該当するからだ。
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実例2: 家庭教師(夏休み集中指導)
家庭教師は比較的自由度が高く、曜日・時間帯を自分で調整しやすい。 夏休みは受験生の集中指導需要があり、1対1で週3〜4コマ担当するだけで一定の収入になる。
夏休み40日シミュ
- 時給: 2,500〜4,500円(科目・学年・地域差あり)
- 週3コマ・1コマ90分: 月収4〜8万円程度
- 週6コマ・中学受験向け専門指導: 月収15〜25万円も可能
家庭教師センター経由で契約する場合、雇用元は「センター」になるため申請書類が明確になりやすい。 個人契約(マッチング以外)の場合は「継続的に有償で個人から報酬を得る」形になるため、申請書類の記載内容について事前に事務担当に確認しておくこと。
実例3: オンライン家庭教師(マナリンク等)
オンライン家庭教師のプラットフォームは個人で登録・授業ができる仕組みが整っている。 マナリンク・スタディサプリ中学・オンラインコーチなどが代表的だ。
夏休み40日シミュ
- 時給: 2,000〜5,000円(設定自由度が高い)
- 週5コマ・1コマ60分: 月収6〜15万円
- 繰り返し指導・生徒数増加で: 月収20万円超も視野
オンラインのため通勤時間ゼロ。 朝8時や夜19時以降のコマを設定すれば、在校日の夕方以降でも対応できる。
申請時の「勤務時間」記載については「授業時間のみ」と明示するのが一般的な書き方だ。
実例4: 添削・採点バイト(教員専門性高)
通信教育の添削スタッフ、大学入試・高校入試の答案採点バイト、資格試験の採点補助などは、教員の専門性が直接活かせる副業だ。
夏休み40日シミュ
- 単価: 1枚100〜500円程度、または時給換算1,500〜2,500円
- 月200枚ペース(単価250円): 月収約5万円
- 月400枚ペース・複数社掛け持ち: 月収10〜20万円
最大の特徴は「在宅・自分のペース」で進められる点だ。 子育て中の教員・体力的に外出が難しい教員にも向いている。
大手通信教育会社(進研ゼミ・Z会・スタディサプリ等)は毎年教員経験者の採点スタッフを募集しているため、夏休み直前の3〜4月に応募しておくとスムーズだ。
実例5: 教材執筆・教育系ライター
教育専門誌(教育技術・現代教育科学等)への寄稿、教育ICT系のウェブメディアへのライティング、教科書会社・教材会社の依頼原稿などが該当する。
夏休み40日シミュ
- 単価: 1本5,000〜30,000円(媒体・字数による)
- 月4本ペース(単価15,000円): 月収6万円
- 継続案件・専属契約になると月収10〜20万円
初案件を取るまでのハードルがやや高いのが難点だが、一度実績を作ると継続依頼になりやすい。 教育系のクラウドソーシング案件からスタートするか、直接メディア編集部に問い合わせる方法がある。
申請区分としては「教育に関する兼業(教特法17条)」として申請するのが最もスムーズだ。
実例6: 講演・研修講師(教員向けセミナー)
学校外での教員研修、教育委員会主催の研修、民間教育団体のセミナー講師、PTA向けの講演など。 「教員が教員に話す」形は最もスムーズに許可が通るパターンのひとつだ。
夏休み40日シミュ
- 1回の謝礼: 5,000〜50,000円(主催規模・移動費含む)
- 月2〜3本受ける: 月収2〜10万円
- ICT活用・学級経営等で知名度があれば: 月収30万円以上も
継続的な登壇には告知・集客のためのSNS発信が必要になってくることが多い。 このSNS発信自体が「情報発信ビジネスの一部」と見なされるリスクがあるため、講演内容の範囲を超えた有料情報商材的な展開には注意が必要だ。
実例7: 教材・スキル販売(STORES・note・ココナラ等)
自作のワークシート、授業プリント、学級経営ツール、テスト問題集などをSTORES・note・ギャラクシー等のプラットフォームで販売する形だ。 ココナラ等のスキルマーケットでは、教材という「モノ」だけでなく、添削・進路相談・授業計画レビューといった「無形スキル」も販売できる。
夏休み40日シミュ
- 単価: 300〜3,000円/点(教材) / 1,000〜10,000円/件(スキル)
- 月30点売れた場合(単価700円): 月収約2万円
- 月100点・複数カテゴリ展開: 月収5〜15万円
初期は売上が少なく、収益化まで時間がかかる。 夏休みに「コンテンツを作りこむ」期間として使い、秋以降の収益化を狙うという時間軸のほうが現実的だ。
特にスキルマーケット(ココナラ等)は、教員が普段やっている「子どもへの添削」「保護者面談」「進路指導」のノウハウをそのまま商品化できる点で、ゼロから教材を作るより時間効率が良い。
注意点として、教材・スキル販売は「継続的な営利活動」に当たるため、最初の1点目を出品する前に許可申請を出しておくことが必要だ。 「少額だから申請しなかった」という判断は服務違反につながりやすい。
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5. 申請ルート完全ガイド(校長相談→申請書式→承認実例)
副業を「やりたいけど申請が怖くて踏み出せない」という教員は多い。 手順を分解してみると、思ったよりシンプルだ。
Step1: 校長への事前相談——夏休み開始の2〜3ヶ月前
6月〜7月の夏期講習に間に合わせるなら、4月〜5月の段階で校長に相談するのが理想だ。
「副業を申請したいのですが」と切り出すより、「教育に関係する仕事でお声がけをいただいたので、兼業許可の手続きを進めたいのですが、まずご相談させてください」という言い方が通りやすい。
相談時に準備するもの:
- 副業先の名称・所在地・担当業務の概要
- おおよその勤務時間・報酬額
- 「本務に支障が生じないこと」を説明できる材料
校長は申請を「受理して教育委員会に回す」役割なので、校長が許可するわけではない。 とはいえ、校長が難色を示すと書類が止まる構造になっているため、事前相談は最重要ステップだ。
Step2: 兼業許可申請書の作成・提出
申請書式は各都道府県・指定都市の教育委員会によって異なる。 一般的に含まれる記載項目は以下の通りだ。
| 記載項目 | 記入のポイント |
|---|---|
| 氏名・所属・職名 | 正式名称で記載 |
| 兼業先の名称・所在地 | 登記上の名称を使う |
| 業務内容 | 「〜の授業指導」「〜の原稿執筆」と具体的に |
| 就業日時・時間数 | 「週〇日・1日〇時間・勤務時間外」と明記 |
| 報酬額 | 月額または時給、見込額で構わない |
| 本務への支障なしの根拠 | 「夏休み期間中であること」「授業のない時間帯のみ稼働」等 |
「週〇時間・月〇万円以下」という制限を設けている自治体が多い。 超えた場合は再申請が必要になるため、最初から実態に近い数字を書いておく。
Step3: 審査・承認のタイムライン
申請から承認まで、自治体によって2週間〜6週間かかる。
- 申請書提出 → 校長受理 → 事務担当転送 → 教委審査 → 承認通知
夏期講習は7月下旬スタートが多いので、7月1日に申請書を出しても間に合わない可能性がある。 5月末〜6月初旬の申請が安全ラインだ。
Step4: 承認後の注意事項
承認を受けた後も守らなければならないことがある。
- 勤務時間内の副業業務は禁止: 授業の合間に添削作業・メール対応をするのはNG
- 職務専念義務: 副業の心配事を抱えたまま教壇に立つことへの戒め
- 変更があれば再申請: 勤務先・業務内容・報酬額が変わった場合は変更申請が必要
- 年度更新: 毎年度始めに更新が必要な自治体が多い
承認実例(抽象例)
元小学校教員のAさん(仮名)は、夏休みに通信教育大手の添削スタッフとして働くための兼業許可を取得した。
5月初旬に校長へ相談し、「教育に関する兼業(教特法17条)」として6月上旬に書類提出。 約3週間で教育委員会から承認が下り、7月中旬から稼働を開始した。
ポイントとして挙げていたのは「業務内容を教育内容と直結させて書いたこと」だった。 「副業」という言葉は使わず、「教育に関する兼業」として一貫して書類を整えた。
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6. 夏休み40日間の現実的月収シミュレーション
「どれくらい稼げるか」がわからないと動けない、という声をよく聞く。 3パターンに分けて現実的な数字を出す。
パターン1: 週末型(月10〜15時間稼働)
想定: 夏休み中の休日のみ副業、週2日・1日5時間程度
| 副業種類 | 時給目安 | 月収目安 |
|---|---|---|
| 添削バイト(在宅) | 時給換算1,500円 | 2〜3万円 |
| 教材執筆(1本ペース) | 単価1万円×2本 | 2万円 |
| オンライン家庭教師 | 2,500円/h | 2.5〜4万円 |
月収目安: 2〜5万円 本業への支障ゼロ、申請もしやすい穏やかな範囲。 「副業とはどんなものか試してみたい」段階に向いている。
パターン2: 平日昼型(週20〜25時間稼働)
想定: 閉庁日・夏季休暇・年休を組み合わせ、週4〜5日・1日4〜5時間稼働
| 副業種類 | 時給目安 | 月収目安 |
|---|---|---|
| 塾講師(夏期講習) | 2,500円/h | 10〜15万円 |
| 家庭教師(週3コマ) | 3,500円/h | 8〜12万円 |
| 添削+オンライン家庭教師(掛け持ち) | — | 10〜18万円 |
月収目安: 8〜20万円 年収換算すると夏だけで50万円以上稼ぐことも現実的。 申請のハードルはあるが、教特法17条の範囲での申請であれば許可実績も多い。
パターン3: 集中型(週30〜40時間稼働)
想定: 夏休み期間をほぼフルタイム副業に充てる
| 副業種類 | 時給目安 | 月収目安 |
|---|---|---|
| 予備校夏期講習(専従) | 3,500円/h | 25〜40万円 |
| 家庭教師+塾講師(掛け持ち) | — | 30〜50万円 |
| 教材販売+ライター(複合) | — | 20〜35万円 |
月収目安: 25〜50万円 2ヶ月で年収の20〜30%相当を稼ぐ人もいる。 ただしこのペースで動くには複数件の申請承認が必要で、管理職・同僚への説明コストも生じる。 「本務に支障が出ない」という証明を継続しながら進めることが条件だ。
シミュ結果のまとめ
| パターン | 週稼働時間 | 月収目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 週末型 | 10〜15h | 2〜5万円 | 初めて副業する教員 |
| 平日昼型 | 20〜25h | 8〜20万円 | 夏だけ本気で稼ぎたい教員 |
| 集中型 | 30〜40h | 25〜50万円 | 来年度の大型出費に備えたい教員 |
7. NG副業と落とし穴(住民税・確定申告20万円ルール)
「夏休みにやってしまいがちな副業の失敗」を整理する。 これを知らずに動くと、副業収入よりも後処理コストのほうが高くつくことになる。
NG副業1: SNS収益化・YouTube収益化
インスタグラムやYouTubeを使った収益化は「継続的な営利活動」と見なされやすい。
教員がYouTubeで授業動画を投稿して広告収入を得る行為は、教育内容と直結していても「継続的な営利活動」として任命権者の許可が必要という判断が多い。 「許可を取ればできる」が、SNS収益化での申請承認実績は自治体によって大きく異なる。
SNS収益化を目指すなら、まず事務担当か教育委員会に「概要をざっくり話して感触を確認する」ことを先にやるべきだ。
NG副業2: アフィリエイト(年20万円超は確定申告必須)
アフィリエイト収入は「雑所得」として確定申告の対象になる。 年間の副業所得が20万円を超えた場合、確定申告が必須だ。
また、ブログやSNSでアフィリエイトリンクを継続的に掲載する行為が「営利事業」と認定される可能性がある。 「収益が出るまで申請しない」という判断は危険で、収益化を前提にブログを運営した時点で申請対象と見なされるリスクがある。
落とし穴1: 住民税の普通徴収切替忘れ
副業収入が生じた場合、翌年の住民税額が増加する。 住民税は原則として給与からの特別徴収(毎月の給与天引き)で納付されているため、増加分がそのまま給与天引きに乗ってしまうと学校の事務担当に副業がバレる可能性がある。
対策は確定申告書の「住民税の納付方法」欄で「自分で納付(普通徴収)」を選択することだ。 ただし、給与分の住民税は引き続き特別徴収になるので、「副業分だけ普通徴収」という形になる。
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落とし穴2: 「20万円ルール」の誤解
「副業所得が年20万円以下なら申告不要」は所得税の話だ。 住民税は「1円でも所得があれば申告義務がある」という設計になっている。
具体的には、確定申告書を提出した場合は住民税の申告も同時に完了するが、確定申告を「20万円以下だから出さなかった」場合は、市区町村への住民税申告が別途必要になる。
このルールを知らずに放置すると、数年後に市区町村から「住民税申告のお知らせ」が届いて初めて気づく、というパターンが多い。
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落とし穴3: 無許可での副業継続
申請なしに副業を続けていた場合、発覚時のリスクは想定以上に大きい。
地方公務員の服務規程違反として懲戒処分の対象になる。 実際に「塾講師を無許可で続けていた教員が減給処分を受けた」事例は複数報告されている。 「みんなやってる」は言い訳にならない。
副業を始める前に申請を通すこと——これだけは絶対に守ってほしい。
8. 元小学校教員が夏休み副業を検討した話
元小学校教員として教壇に立っていたとき、毎年夏休みが来るたびに「この時間をもっと活かせないか」と考えていた。
塾の夏期講習は「授業スキルをそのまま使える」という点で魅力的だった。 ただ、夏期講習のシフトが決まるのは5〜6月で、申請→承認のサイクルを逆算すると4月中に動き始めなければ間に合わない。 1年目はこのタイミングを見誤って「来年こそは」で終わった。
2年目に実際に動き始めたのは添削系の仕事だった。 在宅でできる、通信教育会社の添削スタッフという形だ。
申請書には「教育に関する兼業(教育公務員特例法第17条)」として書いた。 業務内容を「生徒答案の添削・コメント記入」と明記し、稼働時間を「夏季休暇・年次有給休暇・閉庁日のみ」と限定して記載した。
校長への相談では「通信教育の添削です」と一言で伝えると「それは問題ないですね」と即答だった。 許可が下りるまで約3週間かかったが、そこからは夏休みの間に月7〜8万円を安定的に稼ぐことができた。
夏休みが終わった後も、週末に1〜2件の添削を続けることで年間を通じた副収入になった。 「夏にスタートして、年間副業に育てる」という流れが、教員の副業として最もリスクが低くて成果が出やすいルートだと今でも思っている。
副業で一番もったいないのは「やり方がわからなくて結局動かなかった」ことだ。 申請書の書き方を知り、申請のタイミングを逃さず、本業との両立ができる副業の種類を選べば——夏休みは教員にとって「年に1度の副業チャンス」になる。
9. よくある質問
Q1: 校長に相談するベストタイミングは?
夏休み開始の2〜3ヶ月前、つまり4月〜5月の早い段階が理想だ。
教育委員会への書類提出・審査に最低でも3〜4週間かかる自治体が多く、夏休み直前の6月末に申請を出しても審査中に夏休みが始まってしまうリスクがある。
4月に「夏休みに〇〇の副業を予定しているので、申請の手続きを進めたい」と校長に話しておくのが最も安全なタイミングだ。
Q2: 自治体ごとのルール差はどう調べる?
所属する都道府県・政令市の教育委員会ウェブサイトで「兼業許可」「兼職兼業」というキーワードで検索するのが確実だ。
見つからない場合は、学校の事務担当(庶務担当)に「兼業許可の申請書式をください」と依頼する方法が早い。 書式を受け取りながら「どういうケースが通りやすいですか」と聞ける機会にもなる。
副業を扱う教員向け情報サイト・SNSでは「〇〇県の兼業許可の実態」を共有している元教員も多い。 そういった一次情報も参考にしながら、最終的には公式ルートで確認することをすすめる。
Q3: 私立教員でも申請必要?
私立教員は地方公務員ではないので、地公法38条は適用されない。
ただし私立学校の多くは就業規則で「副業・兼業には学校長の許可を要する」または「原則禁止」と定めている。 就業規則に明記がなくても、学校長への事前報告・相談なしに副業を始めることはリスクがある。
就業規則を確認し、「許可制」であれば学校長に相談→申請書類を提出、という流れは公立教員と大差ない。
Q4: 夏休み副業で稼いだお金はボーナス評価に影響する?
適切に申請・承認されている副業であれば、評価に影響しない。
人事評価は「本務の職務遂行」を評価するものであり、許可された範囲内の副業収入が評価に反映されることはない。
ただし、無許可で副業して発覚した場合は服務違反として懲戒処分の対象になる可能性があり、その場合は評価どころか処分の問題になる。 「副業をバレないようにする」より「申請を通して堂々とやる」方が長期的なリスクははるかに低い。
Q5: バイトの掛け持ちはOK?
原則として1件ごとに許可申請が必要だ。
「塾講師+家庭教師」など複数の兼業をしたい場合、それぞれを別の申請書で提出するよう求める自治体が多い。 1枚の申請書にまとめて書いて通る場合もあるが、事前に事務担当に確認しておく。
また、複数の兼業を合算した「月間稼働時間」と「月間収入」が各自治体の上限基準を超えないように管理することも必要だ。
次の一手
副業ピラー記事
教員の副業に関する全体像は副業完全ガイドにまとめている。
本記事の法律・制度情報は2026年6月時点のものです。自治体ごとに規程が異なるため、実際の申請は所属する教育委員会・事務担当に確認してください。
