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育休復帰は「戻る日を決める」だけじゃ終わらない。

保活。 職場への意向通知。 共済の手続き。 家事ルーティンの再設計。 住民税の請求再開。

これが同時並行で走る。 しかも教員の場合、民間と違って「4月1日に合わせて帰る」という暗黙の縛りがある。 年度替わりに合わせるため、逆算スケジュールがズレるとすべてが崩れる。

結論から書く。 教員の育休復職準備は、4月復帰を目指すなら半年前(10月頃)から動くのが現実的。 カテゴリは6つ——保育園・職場・金銭・家事・健康・心構え——それぞれに締め切りがある。

この記事では、各フェーズでやることをリストにまとめた。 自分の状況に合わせてチェックしながら読んでほしい。


1. 教員の育休復帰時期はいつが多いか

「4月復帰」が事実上のスタンダード

公立学校は4月に学級編制・担任配置が決まる。 育休明けで「年度途中に戻ります」と言えないことはないが、学校側の調整コストが一気に上がる。 管理職から「できれば4月に合わせてほしい」と言われるケースが多い。

育休の最長取得期間は「子が2歳になるまで(延長含む)」だが、 実務的には「子が1歳4月」か「子が2歳4月」が復帰のターニングポイントになる。

育児休業給付金との関係

育児休業給付金は、休業開始から180日間は給与の67%、以降は50%が支給される(2026年5月時点)。 支給は「子が2歳になるまで」が上限。

4月復帰を選ぶと、復帰日から給付金は打ち切られる。 給付金終了 → 月給切替のタイミングは復帰後の給与変化で詳しく確認してほしい。

年度途中復帰の可否

不可能ではない。 育児短時間勤務(時短)を使いながら2学期や3学期に戻る人もいる。 ただし担任を持てない可能性や、加配・TT扱いになるケースがある。 年度途中復帰を検討する場合は、管理職に早めに相談して「どんな配置になるか」を先に確認する。


2. 校種・状況別の復帰パターン

ここは汎用記事では絶対に書かれない部分。 同じ「教員」でも、校種・勤務先の種別によって段取りが全然違う。

同一自治体内の同じ学校に戻る場合

最もシンプルなパターン。 管理職もあなたのことを知っており、人事ヒアリングの流れも読みやすい。 ただし「育休前と同じ感覚で戻る」と思われると、重い分掌・担任を当然のように割り振られることがある。 時短や担任の希望は「黙っていてもわかってくれる」ではなく、必ず文書か口頭で伝える。

同一自治体内で異動(転勤)する場合

4月人事異動で転勤になると、復帰と転勤が同時に発生する。 新しい学校では自分の事情を誰も知らないため、 初日に「育児短時間勤務を取得中です・お迎えが◯時のためその時間に退勤します」と校長・学年主任に伝えるのを最初にやる。 転勤先の保育園との通勤ルートが変わる可能性もあるため、異動内示(3月初旬)を受けてから保育園の転園・延長保育追加を検討する。

私立・国立から公立に戻る(異種間異動)

教員免許は同じでも、共済組合・給与体系・人事制度が異なる。 私立から公立に転職するかたちで復帰する場合は、 前職の退職金・企業年金の精算と、公立採用の手続きを並行で進める必要がある。 育休給付金の受給資格も雇用保険か共済かで変わるため、 「私立 → 育休 → 公立採用」の場合は特に社労士か共済組合への確認を先に行う。

非常勤・時間講師として復帰する

フルタイム復帰が難しい場合、非常勤講師・臨時的任用教員として復帰する選択肢がある。 給与・社会保険・年次有給休暇の扱いがフルタイム正規と異なる。 育児短時間勤務制度は非常勤には適用されない自治体が多いため、 勤務時間の調整は「コマ数」でしか行えない。 後述する「担任vs専科vs非常勤の比較」も参照してほしい。


3. 復帰3ヶ月前(1月頃)の追加確認事項

既存のスケジュールに加えて、1月はもう一段細かい確認が必要になる。

保育園の種別選択:認可・認可外・小規模の教員向け比較

種別 開園時間の目安 教員の勤務時間との相性 費用
認可保育所(標準) 7:00〜19:00 延長保育で対応可。職員会議・行事対応は別途調整 世帯年収に応じた保育料(無償化3歳〜)
認可小規模保育所 7:30〜18:30が多い 閉園が早く、担任業務のある日は保育料以外の費用が発生しやすい 認可と同等
認可外保育施設 施設による(24時間対応もある) 残業・授業参観・遠足引率後でも預けやすい 全額自己負担。月6〜10万円程度
企業主導型保育所 7:00〜20:00程度が多い 比較的融通が利く。申込は施設と直接交渉 世帯収入に応じた利用者負担

教員が特に困るのは「行事の日」。 入学式・卒業式・授業参観・遠足の引率がある日は、通常の退勤より2〜3時間遅くなることがある。 認可保育所で延長保育の上限時間を超えそうな日は、一時保育やファミサポを組み合わせる想定を持っておく。

自宅近くか職場近くか、どちらに保育園を選ぶかは「子が発熱したときにどちらが先に動けるか」で決める。 発熱は必ず午後に連絡が来る。 職場近くなら自分が先に動ける。 自宅近くならパートナーが動く前提が必要。

慣らし保育期間の勤務扱いを確定させる

4月復帰の場合、慣らし保育は4月上旬〜中旬にかかる。 学校の4月は入学式・始業式・学年会・家庭訪問と行事が固まっている。

慣らし保育期間の扱いは自治体ごとに以下の3パターンがある。

  1. 育児休業を延長して慣らし保育終了まで休業扱いにする
  2. 部分休業で短縮勤務を組み合わせる
  3. 年次有給休暇を使い、フルタイム出勤扱いにする

元小学校教員として実際に経験した範囲では、 「4月1日から復帰扱いにして年休を使いながら慣らし保育に対応する」パターンが最も多かった。 ただしこのやり方だと、最初の週に年休を3〜5日一気に使い切ることになる。 1月の段階で事務職員に「慣らし保育期間の具体的な扱い」を書面で確認しておくと安心。


4. 復帰3ヶ月前(10月頃)にやること

4月復帰を目指すなら、10月がスタートライン。 この時期に動けないと、保活で詰む。

保育園関連

  • 居住自治体の保育園入園案内(申込要項)を入手する
  • 認可保育園の申込スケジュール・締め切り日を確認する(多くは11〜12月)
  • 通園可能な範囲の保育園をリストアップする
  • 見学予約を入れる(人気園は見学だけで2〜3ヶ月待ちのこともある)
  • 自治体の「保育コンシェルジュ」制度があれば相談予約を入れる

家族との役割分担

  • パートナーの勤務時間・リモート可否を確認する
  • 送り迎えをどちらが担当するか大枠を決める
  • 祖父母サポートの可否・頻度を確認しておく
  • 子の急病時に対応できる体制(病児保育・ファミサポ等)を調べ始める

職場への非公式確認

  • 管理職(校長・教頭)に「4月復帰を検討している」と口頭で伝えておく
  • 時短勤務(部分休業または育児短時間勤務)を使うかどうかの意向を示す
  • 担任を持てる状態かどうかを管理職と確認する

5. 復帰4ヶ月前(12月頃)にやること

保育園申込と職場への正式通知が重なる。 この月が事実上の「決断月」。

保育園申込

  • 認可保育園の申込書類を提出する(締め切り厳守)
  • 復職証明書・就労状況証明書など勤務先に記入依頼する書類を早めに依頼する(学校への依頼は管理職経由が多い)
  • 認可外・企業主導型保育所も並行して仮申込・見学しておく
  • 育児休業取得中の「保育の必要性」認定区分を確認する

職場への正式通知

  • 育児休業終了日・復帰予定日を書面または口頭で管理職に通知する
  • 時短勤務(部分休業)を希望する場合は、勤務時間の希望を添える
  • 担任配置・分掌希望を伝えるタイミングを管理職と確認する(多くは1〜2月の人事ヒアリング前後)

通勤動線の見直し

  • 保育園→学校の通勤ルートをシミュレーションする
  • 登園時間・開門時間・始業時間の「隙間」がどのくらいあるか確認する
  • 職場近くに保育園を選ぶか、自宅近くに選ぶかの判断軸を持つ

6. 復帰2ヶ月前(2月頃)にやること

保育園の内定通知が届く時期。 内定が出たら一気に手続きが動く。

保育園内定後の手続き

  • 入園決定通知を受け取ったら入園承諾書を期限内に返送する
  • 入園前健康診断・説明会の日程を確認する
  • 保育料・延長保育料・給食費の引き落とし口座を設定する
  • 保育園グッズ(お名前シール・着替えセット・連絡帳等)の準備を始める

職場の引き継ぎ確認

  • 自分が担当する予定の学年・クラス・担当業務を管理職と確認する
  • 引き継ぎが必要な場合は前任者・担当者との調整を管理職に依頼する
  • 職員会議・学年会・各種委員会の日程感を把握しておく

家事ルーティンの整備

  • 平日の家事を「誰が・何時に・何をやるか」具体的に分担する
  • 週末に作り置きをする体制を試しておく
  • ゴミ出し・洗濯・食事準備の時短アイテムをこの時期に導入して慣らす
  • 食材宅配・ミールキットを試してみる(復帰後に初めてだとハードルが高い)

共済・給付金の確認開始

育休中に免除されていた共済掛金(社会保険料)は復帰後から再開する。 この時期に育休中の給与・給付金計算を振り返り、 復帰後の手取りがいくらになるか試算しておく。


7. 復帰1ヶ月前(3月頃)にやること

3月は学校が繁忙期に入る。 訪問・確認作業は早めに済ませる。

慣らし保育の日程調整

  • 保育園から提示される慣らし保育スケジュールを確認する
  • 慣らし保育期間中の勤務はどう扱われるかを確認する(後述)
  • 1週間〜2週間は「フルで預けられない期間」として想定しておく

職場挨拶訪問

  • 3月中に一度職場に顔を出しておく(必須ではないが強く推奨)
  • 管理職・学年主任・事務職員・保健室の先生など、復帰後に連携が多い人に挨拶する
  • 復帰後の勤務形態(時短・フルタイム)を全員に共有してもらえるよう管理職にお願いする

職員会議資料・学校全体の動きの把握

  • 前年度末の職員会議資料(年間行事計画・分掌表等)を入手できないか管理職に確認する
  • 復帰後の4月に何があるか(入学式・家庭訪問・遠足・授業参観など)をざっくり把握する
  • 担任業務の有無・学年構成を最終確認する

服装・通勤準備

  • 育休中に体型変化があった場合、仕事着を見直す
  • 子連れ登園→職場への乗り換えを想定した鞄・荷物の最適化を試す
  • 通勤定期を更新・新規購入する

2週間前チェックリスト

復帰2週間前は「細部の詰め」フェーズ。 以下を確認しておくと、復帰初日の混乱が減る。

  • 保育園の連絡帳・アプリ登録が済んでいるか
  • 延長保育の申請を済ませたか
  • 病児保育施設への事前登録を済ませたか(登録がないと使えない施設が多い)
  • ファミリーサポートの会員登録をしたか
  • 子の定期受診・予防接種のスケジュールが復帰後の土日に当たっているか確認
  • 職場のロッカー・机の状況を確認したか(荷物が残っている場合は事前確認)
  • IDカード・セキュリティキー・校内システムのパスワードを確認したか

8. 担任・専科・非常勤の選択肢と給与・時間の比較

復帰後の働き方を「担任か担任以外か」で悩む人は多い。 実態を整理する。

担任(学級担任)

給与: フルタイム基準で自治体の給料表どおり。 時間: 始業〜下校まで拘束が多い。放課後の保護者対応・通知表・家庭訪問などが追加で発生する。 時短との相性: 自治体・管理職によって「時短で担任可」「担任は原則フルタイム」と運用が異なる。 担任を持ちながら育児短時間勤務を取得している教員は実在するが、 放課後の対応をどう処理するかは個人の交渉次第。

元教員の感覚値: 担任を持つと、時短で退勤する罪悪感が大きくなりやすい。 学年チームの理解度が高い環境かどうかが、続けられるかどうかの分かれ目。

専科教員(音楽・体育・図工・外国語など)

給与: 担任と同じ給料表。 時間: コマが決まっているため放課後の拘束は担任より少ない。 ただし学校によっては専科でも行事準備・委員会担当が重い場合がある。 時短との相性: 担任よりは時短を取りやすい環境が多い。 コマが終われば理由なく残らなくてよい日が多い。

育休明けで専科を希望する場合は、「専科でお願いしたい理由」を管理職に具体的に伝える。 「育児短時間勤務を取得しながら安定して勤務するため、今年度は専科でお願いしたい」という表現が通りやすい。

非常勤講師・臨時的任用教員

給与: 時間給または月額の非常勤手当。正規より大幅に低い。 例:週20コマ勤務の非常勤なら、月15〜20万円程度が相場(自治体差大)。 正規フルタイム(月30〜35万円)と比較すると10〜15万円の差が出る。 時間: コマ数のみの出勤が原則。職員会議・研修は参加義務がない場合が多い。 社会保険: 週の勤務時間が20時間以上なら、共済組合でなく健康保険・厚生年金の対象になる場合がある(雇用形態・自治体による)。

「子が小さいうちだけ非常勤に切り替える」という選択は実際に取られているが、 正規に戻る際に採用試験の再受験が必要な自治体もある。 将来の復帰計画を含めて判断する。

種別 月収目安 拘束時間 時短との相性
担任(正規・フルタイム) 30〜38万円 多い 学校次第
専科(正規・時短あり) 26〜32万円 やや少ない 取りやすい
非常勤・臨任 15〜22万円 少ない 制度対象外が多い

9. 育児時間の取得手順と注意点(地方公務員法)

地方公務員には「育児時間」という制度がある。 教員が利用できる短時間勤務の制度は複数あり、混同しやすい。

育児時間とは

根拠: 地方公務員の勤務時間、休暇等に関する条例(各自治体)および人事院規則。 対象: 1歳未満の子を養育する職員。 内容: 1日2回、合計90分以内で取得できる有給休暇扱い。 給与影響: 給与の減額なし(有給なので)。

この点で「部分休業(育児・介護休業法)」や「育児短時間勤務(地方公務員育児休業法)」と根本的に違う。 育児時間は給与が減らないまま、1日に最大90分早く帰れる制度と理解してよい。

育児時間の申請手順

  1. 職場の事務職員に「育児時間の申請書類」を入手する
  2. 希望する時間帯・日数を記載して管理職に申請する
  3. 管理職の承認後、事務担当が書類を処理する

申請は「1歳未満の間のみ有効」なため、 子が1歳になった翌日以降は育児時間が使えなくなる。 4月復帰の場合、子の月齢によっては復帰直後だけ使えて途中で終わることもある。 そのケースでは「育児時間終了 → 部分休業に切り替え」という流れが多い。

育児時間の注意点

  • 取得できる時間帯は「授乳のための時間」が想定されているが、授乳していなくても取得できる自治体が多い
  • 取得のタイミングは「始業前」「終業前」「昼休み」など規則で定められている場合がある
  • 時短勤務(部分休業・育児短時間勤務)と併用できるかどうかは自治体ごとに異なる
  • 複数制度を重ねると計算が複雑になるため、事務職員に「自分の場合の手取りはいくらになるか」を個別に試算してもらう

10. 復帰後の手取りシミュレーション(月給35万モデル)

「育休給付金から復帰後の手取りに戻るとき、実際に手元のお金がどう変わるか」を整理する。 前提は月額給与35万円(額面)の教員。

育休中(給付金フェーズ)の手取り

育休開始から181日目以降、給付率50%の場合。

項目 金額
育児休業給付金(50%) 約175,000円
社会保険料 免除(0円)
住民税 育休中も賦課あり・別途徴収
実質手元 約165,000〜170,000円(住民税を除く)

復帰後フルタイム(標準的な月)

項目 金額
月額給与(額面) 350,000円
共済短期掛金(医療等・約9%) △31,500円
共済長期掛金(年金等・約8%) △28,000円
雇用保険(教員は原則なし) 0円
住民税(前年所得ベース) △20,000〜30,000円
所得税(概算) △10,000〜15,000円
手取り概算 約245,000〜260,000円

育休中の「約17万円(給付金)」と、復帰後の「約25万円(手取り)」は単純比較できない。 復帰後は保育料(認可保育所・世帯年収700万円前後なら月3〜5万円程度)が加わる。 保育料を差し引いた「実質増加分」は月5〜8万円前後になることが多い。

時短勤務(部分休業・1日1時間短縮)の場合

部分休業は「休業した時間分だけ給与が減額」される。 1日8時間勤務のうち1時間短縮 = 12.5%減額が目安。

項目 金額
月額給与(額面・時短後) 約306,000円(350,000×87.5%)
各種掛金・税 △約70,000円
手取り概算 約235,000〜245,000円

フルタイムと時短の手取り差は月1〜2万円程度になることが多い。 「時短にするか迷っている」なら、1〜2万円のコストで平日の余力を買うと考えるとわかりやすい。

復帰最初の2ヶ月は収入がイレギュラーになる

復帰した月は「給付金が途中で打ち切られ、給与も端数分しか入らない」状態になる。 育休終了月と翌月の2ヶ月間は手元収入が不安定。 復帰前に生活費2〜3ヶ月分の現金は手元に残しておく。


11. 育児時間・部分休業・育児短時間勤務の違いを整理

混同しやすい3制度を一覧で比較する。

制度 根拠法 対象年齢 給与への影響 担任業務
育児時間 地方公務員法 1歳未満 なし(有給) 影響なし
部分休業 育児・介護休業法 3歳未満 休業時間分を減額 可(学校次第)
育児短時間勤務 地方公務員育児休業法 3歳未満 勤務時間に比例して減額 制限されることがある

「育児時間を使い切ったら部分休業に切り替え、3歳になったらフルタイムに戻す」 という段階的な移行が、教員として手取りを最大化しながら時短を維持する定番パターン。


12. 復帰当日〜1週目の現実

初日は「体力の消耗」が想定外に大きい。 育休中に落ちた体力が、フルの職場環境に戻った瞬間に露わになる。

時間配分のリアル

時刻 行動
6:00 起床・自分の準備
6:30 子の朝食・着替え
7:20 保育園登園
7:45 保育園発・通勤
8:15 職場着(職員打合せ前)
16:00 退勤(時短の場合)
16:30 保育園お迎え
17:00 帰宅・夕食準備開始
21:00 子の就寝
21:30 翌日準備・自分の時間

時短勤務でもこのくらいタイトになる。 残業が1時間でも入ると、お迎えに間に合わない。 最初の1〜2週間は「残業ゼロで帰る」と割り切る。

体力配分の注意

  • 初週は家に帰ったら何もできないと思っておく
  • 「とにかく寝る」を最優先にする
  • 家事の水準は一時的に下げていい(自分にOKを出す)

13. 復帰後3ヶ月で疲弊しないための「最初の100日プラン」

「戻ってみたら想像より過酷だった」という声はよく聞く。 100日を3つのフェーズに分けて、段階的にギアを上げる設計にする。

フェーズ1:最初の30日「生存モード」

目標は「倒れない・子を毎日保育園に連れて行く・定時で帰る」の3つのみ。 授業の質・仕事の完成度は後回しにする。

やること:

  • 帰宅後の家事は最低限(ご飯・風呂・寝かしつけ)だけ
  • 職場の人間関係・雰囲気の観察(誰が育休・時短に理解があるかを把握する)
  • 「疲れた」「しんどい」を口に出す練習をパートナーとする

やらなくていいこと:

  • 自主的な残業・休日出勤
  • 新しい取り組みの提案・委員会活動の立候補
  • SNSで他の人の働き方と比べること

フェーズ2:31〜60日「安定モード」

生存モードで体が慣れてきたら、少しずつ仕事にエネルギーを戻す。

やること:

  • 授業準備に30〜45分/日確保できないか試す
  • 家事の「手抜きポイント」を固定する(毎週金曜は外食、洗濯は夜だけ、など)
  • 子の保育園での様子・発達を確認する時間を意識的に取る
  • 育児時間・部分休業の取得が想定通りに機能しているか事務職員に確認する

フェーズ3:61〜100日「巡航モード」

100日を超えると、朝のルーティン・退勤のリズムが身につく。 ここで初めて「もう少し仕事を増やせるか」を判断する。

やること:

  • 来学期の分掌・担任希望について管理職と話す
  • NISAiDeCo積立の再設定をFP相談などで確認する(手取りが安定してきたタイミング)
  • 疲弊ポイントを振り返り、「何をやめれば楽になるか」を夫婦で話す

「100日で完全に元に戻る」ことを目指さない。 育休前と同じパフォーマンスを求めるのは最低でも半年〜1年かかる。 最初の100日は「復帰した事実を積み重ねる」だけで合格点。


14. 教員特有の復帰時注意点

ここが汎用記事と大きく違う部分。

担任希望の提出方法

多くの学校では1〜2月に「来年度の希望調査」が行われる。 育休中でも管理職から連絡が来ることがある。 このとき「担任を持てるか・持てないか」「学年の希望はあるか」を正直に伝える。

時短勤務(部分休業)を使う場合、担任を持てない学校もある。 育児短時間勤務制度と部分休業の違い、担任業務への影響は自治体・学校によって運用が異なる。 「担任を持ちたいが時短も使いたい」なら、早い段階で管理職に相談する。

部活動顧問の扱い

中学・高校教員の場合、部活動顧問の割り当てがある。 復帰後すぐに顧問に入ると、放課後・土日が埋まる。 「しばらくは主顧問を外してほしい」と希望を伝えられるかは学校による。 人手不足の学校では断りにくい状況もあるが、子育て中を理由に配慮を求めることは正当な権利。

分掌調整依頼の伝え方

復帰後は「緊急対応が多い分掌」を避けたいケースがある。 例えば生徒指導主任や学年主任など。 希望は「担任と時短の両立に集中したいため、今年度は軽い分掌にしていただけると助かります」という言い方が通りやすい。 「子育てを理由に楽をしたい」ではなく「持続的に勤務するための配慮」として伝える。


15. 復帰時の家計再構築

育休終了 → 月給切替のタイミングで家計が大きく動く。

育休給付金終了後の収入変化

育休給付金は「復帰した月」から支給終了。 給与は「実際に働いた分」が翌月以降に入る。 復帰した月は給与も給付金も中途半端な金額になることが多い。 最初の1〜2ヶ月は収入が不安定になることを前提に、生活費の手元資金を確保しておく。

住民税の徴収再開

育休中は「給与から徴収できない」ため、住民税が猶予・分割になっていることがある。 復帰後に一気に請求が来て、手取りが大幅に減る月が出ることも。 職場の事務職員に「住民税の徴収状況」を早めに確認する。

NISA積立の調整

育休中にNISA積立を減額・停止した人は、復帰後の収入で再設定する。 育休中のNISA積立継続方針も確認しながら、復帰後の月収に合った積立額に変更する。

復帰後の家計全体の見直しは、産休育休のお金全般を扱うP9ピラー記事も参照。


16. 復帰前に共済手続きを忘れない3項目

ここは見落としやすい。 勤務先の共済組合または事務職員に確認する。

① 育児短時間勤務手当の申請

時短勤務(育児短時間勤務)を使う場合、勤務時間に応じた給与減額が発生する。 一方で自治体によっては「育児短時間勤務手当」や「部分休業給与減額の緩和措置」がある。 どんな手当が出るか、申請が必要かを事務職員に確認する。

② 育児休業に係る掛金免除の終了処理

育休中は共済の短期・長期掛金が免除されている。 復帰すると同時に徴収が再開されるが、「終了手続き」の書類が必要なことがある。 手続き漏れがあると、後から追徴されるケースもあるため、復帰前に事務に確認する。

③ 年金の特例確認

育休期間中の「産前産後休業・育児休業等に係る保険料免除」は、厚生年金ベースの共済年金でも適用される。 この期間は年金加入記録としてカウントされる仕組みで、将来の年金額に影響しない。 ただし申請漏れ・記録確認は必要。 復帰時に「育休期間の免除申請が完了しているか」を共済担当窓口で確認する。


17. 復帰前のメンタル準備

「完璧に復帰しなければ」という思い込みが一番のリスク。

完璧主義を手放す

育休前にできていた仕事量・授業クオリティに、最初から戻ろうとしない。 1学期は「定時で帰れて、子が元気で、自分が倒れない」だけで十分。 教員は真面目な人が多い分、自分への要求水準が高くなりがち。

職場の理解度を測る方法

復帰前の挨拶訪問で、職場の雰囲気を一度「観察」する。 管理職が育休取得者の復帰に慣れているか。 学年チームに子育て中の教員がいるか。 これで「どのくらい気兼ねなく定時退勤できるか」がだいたい分かる。

夫婦の家事分担再交渉

育休中は主たる養育者が家事を多く担っていたケースが多い。 復帰後も同じ比率を維持しようとすると、数ヶ月で疲弊する。 「何をどこまでやるか」の基準を、復帰前に一度リセットして決め直す。 「お願い」ではなく「担当の割り振り」として言語化しておく。


18. よくある質問

Q. 慣らし保育期間中の勤務はどう扱われますか?

慣らし保育は「子が短時間しか保育園に預けられない期間」のため、 通常勤務ができない日が続く。 この間の扱いは自治体によって異なる。 「育児休業を延長して慣らし保育期間を含める」「部分休業で対応する」「年次有給休暇を使う」などの選択肢がある。 管理職と事務職員に早めに相談する。

Q. 年度途中で復帰した場合、育休給付金の利率はどうなりますか?

育休開始から180日以内は67%、以降は50%が基本。 4月に限らず、181日目以降に復帰すれば50%が適用されている期間からの切り替えになる。 給付金の計算は育休給与計算の記事で確認。

Q. 部分休業と育児短時間勤務の違いは?

どちらも育児のために勤務時間を短縮できる制度だが、根拠法・給与への影響が異なる。

  • 部分休業: 育児・介護休業法に基づく。1歳未満の子が対象(自治体によって延長あり)。休業した時間分の給与が減額される。
  • 育児短時間勤務: 地方公務員育児休業法に基づく教育公務員特有の制度。3歳未満の子が対象。週の勤務時間を短縮できる。給与減額の幅・計算方法は部分休業と異なる。

どちらを使うかで手取りが変わるため、事務職員に計算してもらって比較する。

Q. 1人目復帰後すぐに2人目を妊娠したら?

復帰後に産前休暇・育休を再取得することは法的に可能。 共済組合の手続き・給付金の算定基礎は「直近の賃金」が使われるため、 育休→短期復帰→再育休の場合は給付金が育休中の50%基準になることがある。 自分の想定スケジュールを共済窓口に確認しておく。

Q. 育児時間は管理職に断られたら取れませんか?

育児時間は法律・条例上の権利であり、管理職が恣意的に拒否することはできない。 申請した場合、管理職は取得を認める義務がある(業務上の理由で時刻を調整することはあり得る)。 もし拒否された場合は、自治体の教育委員会または所轄の人事担当窓口に相談する。


復帰前にFP相談を使う手がある

育休給付金終了後の家計・時短勤務での手取り試算・NISA積立再設定など、 「数字をちゃんと確認したい」なら、無料FP相談を一度使うのも選択肢。

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まとめに代えて:教員の育休復帰は「段階管理」が全て

フェーズ 時期 主なやること
半年前 10月頃 保活情報収集・保育園見学・家族分担協議・管理職への非公式相談
4ヶ月前 12月頃 保育園申込・職場への正式通知・通勤動線シミュ
2ヶ月前 2月頃 保育園内定手続き・引き継ぎ確認・家事整備・共済確認開始
1ヶ月前 3月頃 慣らし保育調整・職場挨拶・服装準備・共済手続き完了
2週間前 3月末 病児保育登録・ファミサポ登録・IDカード確認・延長保育申請
復帰直後 4月第1週 残業ゼロ・体力配分・家事水準を一時的に下げる
最初の100日 4〜7月 生存→安定→巡航の3段階でギアを上げる

教員の育休復帰は、段階ごとの「締め切り」を意識して動けるかどうかで、 スムーズさが大きく変わる。

給付金・税金・共済手続きは制度改正があることもある。 この記事は2026年6月現在の情報を基にしているが、 最終確認は職場の事務職員・社労士・各共済窓口に行う。

産休育休のお金全体については、P9産休育休マネーガイドも参照してほしい。