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結論から言う。 公立教員がブログやYouTubeで収益を得ることは、「条件付きで可能」だ。 ただし「バレなければOK」という感覚で始めると懲戒処分のリスクがある。 正しく許可を取り、運用ルールを守れば、教員を続けながら月数万〜十数万円の副収入を作っている人は実際にいる。
この記事では、ブログ運営とYouTube運営に絞って、法的根拠・許可申請の要否・グレーゾーンの整理・失敗パターンを具体的に書く。 「副業全般の話」や「許可申請書の書き方」は別記事に任せて、この記事はブログとYouTubeの2業態に特化した内容だ。
1. 法的根拠の整理——どの法律が関わってくるか
公立学校の教員が副業をするとき、最低限把握しておくべき法律が3本ある。
地方公務員法38条
「職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない」という規定だ。 ブログのアドセンス収入、アフィリエイト収入はいずれも「報酬を得る活動」に該当する。 広告収入がゼロの段階なら許可不要という解釈もあるが、収益化を前提として開設する時点で許可申請を出すのが安全策だ。
国家公務員法103・104条
国家公務員に適用される条文で、公立教員は直接の対象ではない。 ただし2026年4月、国家公務員の自営兼業基準が緩和されたことで、各自治体の地方公務員に対する運用方針にも影響が出始めている。 「国がOKと言っているのに自治体がNGというのは整合性がない」という申請者の主張が通りやすくなった側面はある。
教育公務員特例法17条
「教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事する場合においては、給与を受け、又は受けないにかかわらず、任命権者の許可を受けなければならない」という条文だ。
ここが重要なポイントになる。 教育系ブログ・教育系YouTubeチャンネルを運営する場合、「教育に関する事業」とみなされ、無報酬であっても許可が必要になる可能性がある。 一方、料理ブログや旅行系YouTubeなど教育と無関係なジャンルを選べば、この条文の適用範囲から外れる。これが後述する「教育以外のジャンルを推奨する理由」だ。
2. 許可申請が必要なケース vs 不要なケース
許可申請の要否は「収益の有無」と「ジャンル」の組み合わせで決まる。
| 状況 | 許可の要否 | 備考 |
|---|---|---|
| 趣味ブログ(収益なし・教育無関係) | 不要 | ただし実名・勤務先言及は別途リスク |
| アドセンス申請済み(教育無関係ブログ) | 必要 | 報酬を得る意図がある時点で申請対象 |
| 教育系ブログ(収益なし) | 条件付き必要 | 教特法17条の「教育に関する事業」に該当しうる |
| 教育系YouTube(収益あり) | 必ず必要 | ジャンル+報酬のダブル該当 |
| 月1万円以下の雑収入 | 自治体による | 許可不要とする自治体もある。要確認 |
「月いくらから申請が必要か」という閾値は自治体ごとに異なる。 一部の自治体では「年間収入20万円以下かつ継続的な事業性がない場合は許可不要」という内部基準を持っているところもある。 ただし、それを事前確認せずに収益化してしまうと規則違反になるリスクがある。まず所属自治体の人事担当に確認するのが最初のステップだ。
3. ブログ運営の具体ステップ
ジャンル選定——「教育以外」を推奨する理由
教員がブログを始めるとき、「教育ネタが一番書きやすい」と考えがちだ。 確かに一次情報は豊富だが、教育系ジャンルには2つのデメリットがある。
1. 教特法17条の許可要件が発生する 教育に関する事業として申請が必要になる。審査基準が厳しくなるケースがあり、却下されるリスクが上がる。
2. 保護者・同僚・管理職に特定されやすい 「○○県の小学校の教員が書いている」という情報が少し出るだけで、地域の関係者に特定されることがある。 実際に元同僚のケースでは、保護者が検索でたどり着き、学校に通報されて問題になった事例がある。
おすすめジャンルは、教員の属性と相性が良いが「教育とは直接関係しない」分野だ。
- お金・投資・FP系(教員の給与・NISA・iDeCoネタはアクセスも集まりやすい)
- 読書・書評系(時間投資が少なく、アフィリエイト単価も出やすい)
- 健康・食事・料理系(経験から書けるため継続しやすい)
- 転職・キャリア系(教員→民間という実体験が差別化になる)
レンタルサーバー選定
ブログを始めるためにまず必要なのがレンタルサーバーだ。 教員副業ブログで現実的な選択肢は2つに絞られる。
ConoHa WING 初期費用が安く、管理画面が直感的で使いやすい。WordPressの自動インストール機能が充実しており、ITに慣れていない人でも立ち上げまでが速い。月額料金は長期契約で実質400〜800円台。
エックスサーバー 国内シェアNo.1クラスの老舗。サーバー速度が高く、SEO上有利とされる表示速度を確保しやすい。サポート体制が手厚く、トラブル時の対応が安定している。月額料金は1,000円前後〜。
どちらを選んでも大きな差はない。「速く始めたい人はConoHa WING、安定感重視ならエックスサーバー」という選び方で問題ない。
WordPress導入とSEO基本
サーバー契約後、WordPressをインストールする。 テーマはSWELL・Cocoon・Affingerのどれかで十分だ(SWELLは有料だが表示速度と使い勝手が良く、本気でやるなら早めに導入した方がいい)。
SEOの基本として最初の3ヶ月でやるべきことはシンプルだ。
- 記事を月4〜8本投稿する(量が少なすぎると検索エンジンにインデックスされにくい)
- 1記事1キーワードを意識して書く
- 内部リンクを記事間に張る(関連記事を読者がたどれるようにする)
- XMLサイトマップをSearch Consoleに登録する(Googleに存在を知らせる)
最初の3〜6ヶ月はほぼ収益ゼロが普通だ。 検索順位が安定し始めるのは記事を20〜30本書いた後になることが多い。 それまでは「書くことに慣れる」「ジャンルの知識を深める」期間だと割り切った方がいい。
収益化までのKPI目安
| 期間 | 目安 | やること |
|---|---|---|
| 1〜3ヶ月 | アクセス数月100〜500PV | 記事量産・SEO学習 |
| 3〜6ヶ月 | 月500〜3,000PV | Google Adsense申請(月1,000円前後) |
| 6〜12ヶ月 | 月3,000〜10,000PV | アフィリエイト案件追加(月1〜5万円射程) |
| 1〜2年 | 月10,000PV超 | 月5〜20万円の収益が視野に入る |
これはあくまで中央値的な目安だ。ジャンル・記事の質・SEO施策次第で大きく前後する。
4. YouTube運営の具体ステップ
顔出しNG前提の運用
教員がYouTubeをやる上で最大のリスクは「特定されること」だ。 顔出しは基本的にNGだと考えておくべきだ。
理由は単純で、顔が出れば保護者・生徒・同僚に瞬時に特定される。 特定後の最悪パターンは後述する「失敗パターン」で詳しく書くが、まず顔出しなしの運用方法を確認しておく。
顔出しなしで成立するYouTubeスタイル
- テキスト解説動画(スライド+ナレーション): お金・投資・節税系に向いている
- 画面録画+音声解説(PC操作解説、ツール紹介系): ITリテラシーが高い教員に向いている
- アニメーション・キャラクター動画: 初期コストがかかるが、継続してチャンネルを育てやすい
- ラジオ形式(音声のみ): 最近伸びているスタイル。顔出しゼロで始められる
ボイスチェンジャーや合成音声(VOICEVOX等)を使う手もあるが、視聴者からの信頼度が落ちるデメリットがある。 自分の声で話せるなら、声だけの露出はほぼリスクなしと考えていい。
教員にNGなテーマ
次のテーマは教員がYouTubeで扱うべきではない。
- 現在の勤務校・クラス・生徒の話題(プライバシー侵害・情報漏洩)
- 保護者・同僚・管理職の批判や愚痴(名誉毀損リスク、職場環境悪化)
- 教育委員会・文科省批判(組織の信頼を損なう行為として懲戒対象になりうる)
- 授業映像・学校内部映像(無断録音・録画問題)
- 生徒に関する情報(氏名・顔・成績・家庭環境など一切)
教育と無関係のジャンルでも「元教員です」という情報は積極的には出さない方がいい。 「元教員という属性がバレる」→「現在の勤務先が特定される」というルートが生じる。
収益化条件(2026年5月現在)
YouTubeで広告収入を得るには「YouTubeパートナープログラム(YPP)」への参加が必要だ。 2026年現在の加入条件は以下の通り。
- チャンネル登録者数1,000人以上
- 過去12ヶ月の総再生時間4,000時間以上(または過去90日のShorts再生数1,000万回以上)
- 2段階認証を有効にしたGoogleアカウント
- AdSenseアカウントの連携
収益化まで早い人でも6ヶ月〜1年はかかる。 「ブログより早く収益化できる」という期待は禁物で、ブログより立ち上がりが遅いのが現実だ。
ただし一度チャンネルが育つと、ブログよりも収益の安定性が高い。 月10万円以上の収益を目指すならYouTubeとブログの並行運営が王道だ。
5. グレーゾーンの整理
「副業」と「実名出版・教材販売」の違い
教員が実名で本を出版することは、歴史的に黙認されてきた領域だ。 ブログ・YouTubeと本質的な違いはないように見えるが、行政の扱いは若干異なる。
実名出版は「著作権法上の著作物の頒布」であり、「継続的な営利事業」とは区別される場合がある。 一方、ブログ・YouTubeは「継続的な情報提供を通じた広告収益の獲得」という点で、事業性が高いと判断されやすい。
教材販売(BASEやMinneでの販売も含む)は教特法17条の「教育に関する事業」に完全に該当するため、必ず許可申請が必要だ。
教育委員会への事前相談を推奨するライン
以下のいずれかに該当する場合は、申請書提出前に教育委員会の人事担当に電話で一本入れておくことを強く推奨する。
- 教育系ジャンルでブログ・YouTubeを始める予定がある
- 年間収入が20万円を超える見込みがある
- チャンネル・ブログを大規模に育てる計画がある(将来的にやめられなくなるため)
- 動画・記事に「教員」という属性を開示している(している予定がある)
「事前に相談した」という事実が、万が一問題が発覚したときの防御材料になる。
6. 税務処理——20万円ラインと住民税の落とし穴
確定申告が必要になるタイミング
給与所得以外の所得が年間20万円を超えた場合、確定申告が必要になる。 ブログのアドセンス収入・アフィリエイト収入・YouTube広告収入はすべて「雑所得」として合算する。
- ブログ収入15万円 + YouTube収入8万円 = 合計23万円 → 確定申告必要
20万円以下でも確定申告を任意で行うことはできるし、住民税については金額に関わらず申告義務がある場合がある(市区町村によって異なる)。
住民税「普通徴収」設定が必須
公立教員が最もやりがちで、最も副業がバレるルートがこれだ。
副業収入を確定申告するとき、住民税の徴収方法を「特別徴収」のままにすると、副業分の住民税が給与天引きの金額に上乗せされ、給与担当者(学校事務)に副収入の存在が発覚する。
確定申告書の「住民税・事業税に関する事項」欄で「自分で納付(普通徴収)」を必ず選択すること。
この落とし穴を踏んで副業が学校にバレた事例は非常に多い。 住民税の申告・普通徴収切り替えについての詳細は副業がバレない方法を参照してほしい。
経費として落とせるもの
雑所得の場合、収入から経費を差し引いた金額が課税対象になる。 ブログ・YouTube運営で経費計上できる主なものは以下だ。
- レンタルサーバー代(月額費用)
- ドメイン取得・更新費用
- WordPressテーマ・プラグイン購入費
- 撮影機材(カメラ・マイク・照明)
- 編集ソフト(Adobe Premiere Proなど月額費用)
- 書籍・情報商材(業務に直接関係するもの)
- 通信費(業務利用割合分)
ただし「按分(あんぶん)」が必要で、自宅の通信費を100%経費にするのは認められない。 業務利用50%なら経費計上は50%まで、という考え方が基本だ。
7. 失敗パターン——実際に起きていること
パターン1: 顔出し→特定→学校への連絡
教育系YouTubeを顔出しで始めた教員が、保護者から「お気に入りのYouTuberが担任の先生だった」という形で発覚するケースがある。 問題はそこからで、チャンネル内容に「愚痴」「給与の話」「クレーム保護者の話(匿名でも)」が少しでも含まれていると、即座にクレームになる。 管理職への報告→教育委員会案件になる流れは早い。
パターン2: 実名・学校名言及→保護者通報
記事・動画内に「○○県の小学校教員をしています」と書いた場合、県・市区町村・学年が重なれば誰でも特定できる。 保護者が「このブログ、うちの学校の先生では?」とSNSで拡散したことで問題になった事例がある。
実名・勤務校名・クラスの特徴(「1年生のクラスを持つ担任」など)は絶対に出してはいけない。
パターン3: 住民税の特別徴収→事務担当者が気づく
前述のパターンだが、これが最も件数が多い。 確定申告で普通徴収を選び忘れた結果、翌年6月の給与から天引きされる住民税が前年より増え、学校事務の担当者が「住民税が増えているので確認させてください」と声をかけてきたというケースだ。
親切心から声をかけてくれた結果、副業の存在が学校組織に伝わってしまう。
パターン4: 教育系ジャンルで無申請→服務違反
「収益が月3,000円しかないから大丈夫だろう」と許可申請なしで教育系ブログを運営していた教員が、ブログが急成長して月10万円超になった段階で問題視されたケースがある。 教特法17条上は「収益ゼロでも許可が必要」なのに、収益が上がった段階でさかのぼって問題になった。
許可申請は「収益が出てから」ではなく「始める前」に取るものだ。
8. よくある疑問(FAQ)
Q1. 許可申請なしで試しに始めることはできますか?
「収益化しない段階なら許可不要」という考え方は一定の根拠がある。 ただし、教育系ジャンルの場合は収益ゼロでも教特法17条の対象になりうる。 また「将来的に収益化するつもりで始める」ならば、最初から許可申請を出しておくのが最も安全だ。 試しに始めたブログが成長して後から発覚した場合、「無許可で事業を行っていた期間」として遡及されるリスクがある。
Q2. 匿名・ペンネームなら許可申請は不要ですか?
不要にはならない。 許可申請の要否は「本人が収益を得るかどうか」で決まる。匿名かどうかは無関係だ。 収益が振り込まれる銀行口座の名義はどうせ本人になるため、税務上も本人の所得として計上される。
Q3. YouTubeのスーパーチャットや投げ銭は申告が必要ですか?
必要だ。スーパーチャット・メンバーシップ収益も雑所得として合算する。 年間合計(広告収益+スーパーチャット+メンバーシップ)が20万円を超えたら確定申告が必要になる。
Q4. ブログのASPアフィリエイトは許可申請の対象ですか?
対象になる。 A8.net・afb・アクセストレードなどASP経由で成果報酬を受け取る場合も「報酬を得る事業」に該当する。 「成果が出ていないから申告しなくてよい」は誤りで、ASPに登録して収益化を前提にした時点で申請対象と考えるべきだ。
Q5. 教員を辞めた後のブログ・YouTubeはどうなりますか?
退職後は公務員の服務規定が適用されなくなるため、許可申請の義務がなくなる。 ただし教員在職中に許可なく始めていた場合、退職後も「在職中の服務違反」として問題になる可能性はゼロではない。 退職済みの案件についてどこまで追いかけるかは自治体の判断だが、「退職すれば無効化される」と安易に考えない方がいい。
Q6. 教員の夫(妻)の名義でブログを運営することはできますか?
配偶者が実際に運営・執筆・チャンネル管理を担うなら問題ない。 ただし「名義だけ借りる」形で教員本人が実態上運営しているなら、実質的な脱法行為とみなされるリスクがある。 収益が配偶者の所得として計上されても、教員本人が利益を受けているとみなされた場合は許可申請義務が生じる。 税務上も「生計を一にする家族間の名義貸し」は問題になりやすい。
9. 副業を始めるためのインフラ
ブログを始めるときに最初に必要なのはレンタルサーバーとドメインだ。
ConoHa WING
初心者に一番おすすめしやすいサーバーだ。 WordPressのセットアップが自動化されており、申し込みから最速10分で記事を書ける状態になる。 キャンペーン価格が頻繁に走っており、初年度の実質コストは数千円〜1万円台に収まることが多い。
エックスサーバー
国内最大手クラスのサーバーで、表示速度とサポート品質が高い。 本格的にSEOをやるなら表示速度は重要で、その点でエックスサーバーの評判は安定している。 ブログを長期で育てていくつもりなら、最初からエックスサーバーで始める選択肢もある。
ブログスクール・コミュニティ
ブログの書き方・SEO・アフィリエイトの基礎をゼロから学べるスクールは複数ある。 独学でも始められるが、「最初の3ヶ月で正しい方向に走れるか」がブログ継続のカギになるため、スクールの活用は費用対効果が高い。
まとめ
公立教員のブログ・YouTube副業は「やってはいけない」わけではない。 正しく許可を取り、ジャンル選定・運用ルール・税務処理を押さえれば、教員を続けながら着実に育てられる収入源になる。
最初に確認すべきことをシンプルに整理すると:
- 所属自治体の許可申請基準を人事担当に確認する
- 教育系ジャンルは避け、教特法17条の適用範囲から外す
- 顔出し・実名・勤務先言及は徹底的に避ける
- 確定申告時は住民税を普通徴収に設定する
- 収益化を前提にするなら「始める前」に許可申請を出す
許可申請の具体的な書き方については副業許可申請書の書き方を参照してほしい。 副業がバレないための総合対策は副業がバレない方法にまとめている。