(PR) 本記事はアフィリエイト広告を含みません。掲載情報は執筆時点の制度をもとにしており、詳細は所属の共済組合・人事担当部署にご確認ください。

結論から言う——公立教員と私立教員で制度がまったく違う

「介護休業をとったら給付金はいくらもらえるの?」

この質問への答えは、公立か私立かで根拠法令から違う。 まずここを押さえないと、ネット上の情報を読み誤る。

公立教員は地方公務員法に基づく介護休業を取得し、 公立学校共済組合から「介護休業手当金」を受け取る仕組みだ。 雇用保険には加入していないため、ハローワーク経由の給付は関係ない。

私立教員は雇用保険に加入しているため、 育児・介護休業法の「介護休業給付金」が適用される。

給付日数・上限額・申請先——すべて別物だ。 以下、順番に整理していく。


公立教員の介護休業制度——根拠は地方公務員法

介護休業と介護休暇は別物

混同されやすいが、2つは全くの別制度だ。

制度 期間 単位 給与
介護休業 要介護状態1件につき最大6か月(条例による) 1日単位 原則無給または一部減額(条例次第)
介護休暇 年5日(対象家族2人以上で年10日) 1日・時間単位 有給(日額全額)

介護休暇は「週1回の通院付き添い」や「ケアマネとの面談」など、 スポット的な用途に向いている。 一方、介護休業は「術後の数か月、在宅でつきっきりになる」ような場面で使う。

2025年4月施行の育児・介護休業法改正では、 「継続雇用6か月未満でも介護休暇を取得可能」になった。 公務員は法律ではなく条例が根拠だが、 国の制度に準じた改正が各自治体で順次反映されている。

公立教員の介護休業——期間と給与のリアル

地方公務員の介護休業は、 各都道府県・政令市の「職員の勤務時間、休暇等に関する条例」に基づく。

期間: 同一の要介護者につき、通算6か月以内が多数派。 3回まで分割取得が認められているケースも多い。

給与の扱い: ここが自治体によって差がある。

  • 「無給」として処理する自治体
  • 「給与の一定割合を支給(または減額)」とする自治体

いずれにせよ、給与が大幅に減るか無給になるため、 公立学校共済組合の「介護休業手当金」が実質的な収入源になる。


公立学校共済組合の介護休業手当金——数字で把握する

給付の骨格

公立学校共済組合の介護休業手当金は以下の通りだ。

  • 給付額: 標準報酬日額 × 67%
  • 給付期間: 要介護状態1件につき、週休日等を除いた実働日数ベースで最大66日
  • 分割取得: 可(期間を分割しても66日の上限は通算で管理される)
  • 報酬との調整: 報酬が一部支給されている場合、その分を差し引いた額が支給される

標準報酬日額は、標準報酬月額 ÷ 22で計算する。

具体例: 月給40万円(標準報酬月額40万円)の教員の場合

  • 標準報酬日額 = 400,000円 ÷ 22 = 約18,182円
  • 1日あたりの手当金 = 18,182円 × 67% = 約12,182円
  • 66日間フルに受給した場合の総額 = 約804,000円

ただし「週休日等を除く」という条件があるため、 実際の休業日数が66日以上でも、受給できる実働日数は66日が上限だ。

対象となる「要介護家族」の範囲

共済組合の給付対象となる家族の範囲は、 配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫など。 「要介護状態」とは、2週間以上の常時介護が必要な状態を指す。


私立教員の介護休業給付金——雇用保険から受け取る

私立学校の教員は雇用保険に加入しているため、 ハローワーク経由で「介護休業給付金」を受け取ることになる。

給付の骨格

  • 給付率: 休業開始時賃金日額 × 67%
  • 上限日数: 対象家族1人につき最大93日(3回まで分割可)
  • 2025年度の1か月あたり上限額: 約356,574円
  • 下限額: 約77,199円(2025年度)

上限額は毎年8月に見直される。 公立教員の66日と比べると、私立教員のほうが日数が多い点に注意。

計算式と目安

休業開始前6か月の賃金の総額 ÷ 180 = 賃金日額 賃金日額 × 支給日数 × 67% = 給付額(1支給単位期間)

具体例: 月給35万円(基本給+各種手当)の私立教員の場合

  • 賃金日額 = (350,000円 × 6か月) ÷ 180 = 約11,667円
  • 1か月(30日換算)の給付目安 = 11,667円 × 30 × 67% = 約234,700円

ただし上限額(約356,574円/月)の制限がある。 また、休業中に賃金が支払われている場合、 80%を超える賃金が支払われていると給付金が不支給になるため注意が必要だ。


介護休業 vs 介護休暇——場面別の使い分け

制度を知っていても、どう使い分けるかで負担が大きく変わる。

介護休業を使うべき場面

  • 親が手術・入院から在宅に移行する期間(数週間〜数か月)
  • 施設入所のめどが立つまでの緊急期
  • フルタイムで出勤しながらでは物理的に対応できない状態が続くとき

介護休業は長期離脱を前提とした制度だ。 一度取得すると手当金の66日カウントが始まるため、 「少し休めば回復する」程度の状況では使わないほうが得策な場合もある。

介護休暇を使うべき場面

  • 週1〜2回のデイサービスへの送迎
  • 介護認定の更新審査への同席
  • 退院直後の1〜2日間の付き添い

こういったスポット的な対応には年5日の有給介護休暇で十分対応できる。 時間単位での取得も可能なので、 「午前中だけ同席して午後は学校へ」という使い方もできる。

介護時間(短時間勤務)という選択肢

公務員には「介護時間」として、 1日最大2時間の勤務時間短縮が認められている場合が多い。 この間は無給扱いとなるが、介護休業を全消費せずに 長期的に働き続ける手段として活用できる。


給与・賞与・退職金への影響——知らずに損するポイント

休業中の給与

公立教員は介護休業中、給与が無給または大幅減となる。 手当金(67%)はあくまで共済組合から出るものであり、 給与明細には別途掲載される形になる。

住宅ローンの返済・生活費・共済掛金の支払いが重なる時期は、 キャッシュフローを事前にシミュレーションしておくことが重要だ。

関連記事: 教員の老後資金シミュレーション——定年まで何年・何円必要か

賞与(期末・勤勉手当)への影響

公務員の賞与は「在職期間」をベースに計算されるが、 介護休業期間中は「勤務実績なし」として日割り計算から除外される。

具体的には、6月・12月の基準日(6月1日・12月1日)に在籍していれば 支給自体はされるが、休業期間に対応する日数分だけ減額される仕組みだ。

例: 6か月の介護休業中に賞与基準日をまたいだ場合、 該当期間(半年分×2回分など)の勤勉手当が大幅に減るケースがある。

退職金(退職手当)への影響

退職手当は「退職手当基本額 × 調整率」で計算され、 勤続年数が直接影響する。

介護休業期間の扱いは自治体の条例次第だが、 育児休業と同様に「1/2を勤続年数から除算する」ルールを採用している自治体が多い。

例えば6か月の介護休業を取得した場合、 退職金計算上の勤続年数は「6か月 × 1/2 = 3か月」を控除される可能性がある。

勤続20年前後で退職を検討している場合は、 介護休業の取得タイミングによって退職金が変わることがあるため、 人事担当部署に具体的な試算を求めると安心だ。


介護休業中の社会保険料と税金

共済掛金は免除されるか?

育児休業の場合、申し出により共済掛金が免除される。 しかし介護休業については、育児休業のような掛金免除制度は原則ない

給与が無給になっても共済掛金の支払い義務は継続するため、 給与から天引きできない期間は「直接納入」の手続きが必要になる。

所属の共済組合に「介護休業中の掛金納付方法」を確認しておくこと。 滞納すると組合員資格に影響が出る場合もある。

所得税・住民税の扱い

給与が無給または大幅減になれば、源泉徴収される所得税もゼロかほぼゼロになる。 ただし、住民税は前年度の所得をもとに計算されるため、 休業に入った翌年も住民税の請求は例年通り来る。

休業開始後しばらくは「所得が少ないのに住民税の請求が来る」 という状況が続くため、資金計画に織り込んでおくこと。

確定申告について言えば、 手当金(67%分)は非課税扱いのため申告不要だ(雇用保険の給付金も同様)。 ただし、直接納入した共済掛金は「社会保険料控除」として確定申告で控除できる。


復帰後の働き方——制度で守れるもの、申請しなければ動かないもの

時短勤務(短時間勤務等の措置)

介護休業からの復帰後、育児・介護休業法では 「時短勤務等の措置」を事業主に義務付けている。 対象は「要介護状態にある家族を介護する労働者」で、 1日6時間への短縮、フレックスタイム、時差出勤などが選択肢だ。

公務員の場合は「介護時間(1日2時間以内の勤務時間短縮)」や 「育児短時間勤務に準じた時短制度」が条例で設けられている場合がある。 ただし申請しなければ自動的には適用されない

復帰のタイミングで人事担当部署に相談し、 「介護時間の取得申請」や「時差勤務の申し出」を書面で行うのが基本だ。

部活動・校務分掌への配慮申請

法律上、「部活免除」という明文規定はない。 しかし多くの自治体では、介護を理由とした「校務上の配慮申請」が 認められているケースがある。

管理職に「介護を抱えながら部活顧問を継続するのが困難」と 書面で申し出ることで、顧問交代や担当軽減が検討される場合があるため、 口頭だけで終わらせず記録を残すことが大切だ。

関連記事: 50代教員のセカンドキャリア設計——転職・早期退職・副業の選択肢

テレワーク・在宅勤務の活用

2025年4月以降、事業主はテレワーク等を介護両立支援の選択肢として 労働者に周知・検討することが努力義務化された。 公立学校でのテレワーク導入は民間より遅れているが、 校務処理の一部在宅化が認められる自治体も増えてきている。

休業復帰後の働き方については、 育休復帰後の給与はどう変わるか——時短・扶養・税金の全体像も参考にしてほしい。 介護復帰と育休復帰では制度が異なる部分もあるが、 「給与減額と税負担の変化」という観点では共通する知識が多い。


介護とお金の備え——親の制度と自分の家計を同時に考える

親の介護保険を把握しておく

40歳以上が加入する公的介護保険は、 要介護1〜5の認定を受けると介護サービス費用の1〜3割負担で利用できる。

教員が介護休業を取る前に、 親の介護認定の有無・介護度・利用中のサービスを整理しておくと 「どのくらいの期間・頻度の介護が必要か」を見積もりやすくなる。

介護保険の自己負担限度額(区分支給限度基準額)は要介護度によって異なる。 例えば要介護3なら月27,048単位(1単位≒10円)が上限だ。 それを超えた分は全額自己負担になるため、 高額な在宅サービスを多用していると限度額超過に気づかないことがある。

親の年金額と施設費用の試算

特別養護老人ホームの費用相場は月8万〜15万円程度(個室・ユニット型)。 親の年金収入だけで賄えるかどうかが、 介護休業の長さや自分の収入減をどこまで許容できるかに直結する。

親の年金(老齢・障害・遺族)の受給状況は、 早めに把握しておくと介護計画が立てやすい。

関連記事: 教員の遺族年金——配偶者死亡後の受給額と共済年金との関係

住宅ローン返済中の場合

介護休業中は収入が67%程度まで落ちる。 住宅ローンの返済額が月10万円以上ある場合、 手元に残るキャッシュが想定以上に少なくなるケースがある。

繰り上げ返済のタイミングや返済方法の変更(期間延長)を 金融機関に相談しておくのも選択肢のひとつだ。

配偶者が教員・公務員の場合は収入減のリスクを分散しやすいが、 配偶者が民間企業・パート等の場合は世帯収入への影響が大きくなる。 扶養・税負担の設計は介護前に見直しておきたい。

関連記事: 教員の配偶者扶養設計——共働きvs扶養内で手取りが変わるポイント


FAQ——よくある疑問を5問

Q1. 介護休業中も共済組合の医療給付(短期給付)は使えますか?

使える。介護休業中も組合員資格は継続するため、 本人・被扶養者への医療給付(療養の給付・附加給付など)は変わらず受けられる。 ただし、掛金の直接納入を滞納すると組合員資格に影響が出る可能性があるため、 休業中の掛金納付方法は事前に確認しておくこと。

Q2. 介護休業手当金(67%)は確定申告が必要ですか?

不要だ。公立学校共済組合の介護休業手当金は非課税扱いのため、 所得税の課税対象にならない。 雇用保険の介護休業給付金(私立教員)も同様に非課税だ。 ただし、直接納入した共済掛金は社会保険料控除として申告できる。

Q3. 介護休業中に親が回復した場合、途中で復帰できますか?

できる。介護休業は取得期間中でも職場の承認を得て途中復帰が可能だ。 ただし、一度打ち切った介護休業分の手当金は戻らないため、 「復帰後に状態が悪化した場合は再申請できるか」も 人事担当部署に確認しておくと安心だ。

Q4. 兄弟がいる場合、介護休業の取得は自分だけでも問題ありませんか?

法的には問題ない。介護休業の取得は教員自身の権利であり、 兄弟・姉妹が同居・非同居にかかわらず取得できる。 ただし、職場での理解を得るためには 「家族内で介護の役割を分担している経緯」を 管理職に伝えておくとスムーズなケースが多い。

Q5. 介護休業と看護休暇、介護休暇はどう違いますか?

  • 看護休暇: 子の看護・予防接種等が対象。子どもが中学校就学前まで年5日(2人以上で年10日)
  • 介護休暇: 要介護状態の家族の介護・受診付き添い等。年5日(2人以上で年10日)。有給・時間単位取得可
  • 介護休業: 要介護状態の家族の長期介護。通算6か月以内(公務員・条例次第)または93日以内(私立・雇用保険)。原則無給だが手当金あり

状態の長さと頻度によって使い分けるのが基本だ。


制度まとめ表——公立 vs 私立

項目 公立教員 私立教員
根拠 地方公務員法・条例 育児・介護休業法
給付元 公立学校共済組合 ハローワーク(雇用保険)
給付率 標準報酬日額の67% 賃金日額の67%
最大給付日数 66日(週休日除く) 93日
申請先 所属の共済組合支部 ハローワーク(事業主経由)
掛金免除 なし(原則) 雇用保険料は休業中も徴収継続
非課税

免責事項・相談先

本記事は執筆時点の法令・共済組合規程をもとに作成した。 介護休業に関する制度は自治体の条例や共済組合の規程によって異なり、 法改正によって内容が変わることもある。 実際の手続き・給付額・取得条件については、以下の窓口への確認を推奨する。

  • 公立教員: 所属の都道府県・政令市の公立学校共済組合支部、または学校の人事担当部署
  • 私立教員: 所属の学校法人の人事担当部署、またはハローワーク
  • 介護保険サービスの利用相談: 市区町村の介護保険課・地域包括支援センター
  • お金・家計の相談: ファイナンシャルプランナー(FP)、またはFP協会の「くらしとお金の相談窓口」

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