本記事にはアフィリエイトリンクが含まれます(PR)。 本記事は情報提供を目的としており、投資・金融商品の売買を推奨するものではありません。 最終的な投資判断はご自身の責任のもとで行い、必要に応じてFP(ファイナンシャルプランナー)等の専門家にご相談ください。
結論から言う
暴落時にやるべきことは、ほぼ一つだ。
「何もしない」。
積立を止めず、売らず、レバレッジもかけない。 ただ、積立設定をそのままにして、相場から目を離す。
教員にとっては、これが他の職業の人より実行しやすい。 毎月の給与は暴落が起きても変わらない。 共済貯金という独自の安全バッファがある。 定年まで雇用が保証されている。
この3つの条件が揃っている職業は少ない。 だから教員のNISA積立は「暴落に最も強い構造」を元から持っている。
ただ、それでも含み損が出ると心理的にきつい。 「このまま戻らないんじゃないか」「一度全部売って現金に戻した方がいいのでは」という思考が出てくる。
この記事では、過去の暴落データ・心理バイアスの正体・共済貯金との二段構え戦略・やってはいけない行動の3つを具体的に整理する。 暴落が来たときに慌てないための「事前インストール」として読んでほしい。
※本記事の制度情報は2026年5月時点のものです。税制・制度改正により内容が変わる場合があります。
目次
- 過去の暴落はどれくらい続いて、どのくらいで回復したか
- なぜ含み損が出ると売りたくなるのか——心理バイアスの正体
- 教員が暴落に強い3つの構造的理由
- 共済貯金との二段構え戦略
- やってはいけない3つの行動
- 暴落時にこそ確認すべきポートフォリオチェック項目
- 暴落別・状況別の正しい動き方
- よくある質問
1. 過去の暴落はどれくらい続いて、どのくらいで回復したか {#h2-1}
暴落時に最初にやることは、「過去のデータを見る」ことだ。
感情に任せて動く前に、歴史がどうだったかを確認する。 それだけで、かなり冷静になれる。
主要暴落の比較データ
| 暴落 | 下落幅(S&P500) | 下落期間 | 高値回復までの期間 |
|---|---|---|---|
| リーマンショック(2008〜2009年) | 約56.8% | 約17ヶ月 | 約4年1ヶ月 |
| コロナショック(2020年) | 約33.9% | 約1ヶ月 | 約5ヶ月 |
| 2022年インフレ・金利引上げ局面 | 約25% | 約10ヶ月 | 約1年〜1年半 |
| 2025年トランプ関税ショック(4月) | 約19%(高値比) | 約1〜2ヶ月 | 約3ヶ月(同年6月末に最高値更新) |
※S&P500の終値ベース。回復期間は元の高値水準への復帰までの目安。将来の回復を保証するものではない。
見ると分かることが2つある。
一つ目は「暴落の深さと回復期間は必ずしも比例しない」こと。 コロナショックは33%超下落したにもかかわらず、わずか5ヶ月で元の水準に戻っている。 2025年4月のトランプ関税ショックは約19%の下落から3ヶ月程度で最高値を更新した。 一方でリーマンショックは約57%の下落で、回復に4年以上かかった。 暴落の「原因」によっても回復の速さが変わる。
二つ目は「10年以上の長期で見れば、すべての暴落から回復している」こと。 リーマンショックの約57%の下落でさえ、4年あれば高値を超えた。 10年以上積み立て続ける計画であれば、どの暴落も「通過点」になっている。
暴落の「原因」で回復速度が変わる
投資家の間でよく言われることがある。 「金融危機型の暴落は長引き、政策ショック型の暴落は短い」という傾向だ。
リーマンショック(2008年)は、金融機関の連鎖破綻という構造問題が原因だった。 経済の根幹が揺らいだため、回復に4年以上かかった。
コロナショック(2020年)は、政策対応(財政出動・金融緩和)が異例のスピードで打たれた。 実体経済の破綻ではなく「感染症による一時停止」という性質だったため、回復が速かった。
2025年のトランプ関税ショックも、関税政策という政治的判断が原因だ。 政策変更の余地がある種類のリスクだったため、回復は比較的早かった。
このように「何が原因の暴落か」を把握するだけで、焦りの程度を調整できる。 ただし判断は難しく、個人投資家が底値タイミングを当てることは事実上不可能だ。 だから「原因を理解して継続する」というスタンスが現実的になる。
ドルコスト平均法——暴落時に買い増しできる構造
毎月定額で積み立てるドルコスト平均法の特徴は、「安い時に多く買える」こと。
例えば月3万円を積み立てているとして、基準価額が1万口1万円のときは3万口購入できる。 暴落で基準価額が7,000円に下がれば、同じ3万円で約4.28万口購入できる。 回復したとき、安く仕入れた分のリターンが乗ってくる。
積立継続で暴落から恩恵を受けられる——これが長期積立の核心だ。
2. なぜ含み損が出ると売りたくなるのか——心理バイアスの正体 {#h2-2}
含み損が出たときに「売りたい」と思うのは、意志力の問題ではない。 人間の脳が元々持っている認知の歪みが原因だ。
これを理解しておくと、自分の行動をコントロールしやすくなる。
損失回避バイアス
行動経済学の研究によると、人間は「10万円の利益」より「10万円の損失」を約2倍強く感じる。 ダニエル・カーネマンらが提唱したプロスペクト理論で明らかにされた心理的特性だ。
含み損が膨らんでいる状態は、脳にとって強烈な「痛み」として認識される。 その痛みを止めたくて、売却という行動に走る。
でも実際には、売らない限り損失は「確定」していない。 含み損は「まだ負けていない」状態だ。 売却した瞬間に、ゲームオーバーになる。
アンカリングバイアス
「最初に買ったときの価格」が脳に刻まれ、そこからの下落幅で損得を判断してしまう。
例えばNISAで100万円分の投資信託を買った後に70万円になったとする。 「30万円損した」という感覚が強くなり、「早く100万円に戻してほしい」という執着が生まれる。
でも100万円という数字は過去の値段に過ぎない。 今の70万円が「安い」のかどうかは、将来の価格との比較でしかわからない。 過去の価格に縛られて判断することで、合理的な意思決定が歪む。
確証バイアス
「このまま下がり続けるかもしれない」と思い始めると、下落を示す情報だけが目に入るようになる。
「専門家が景気後退を予測」「○○が最安値更新」というニュースが目につき、 「いや、回復するはず」という情報が無意識にフィルタリングされる。
自分の不安を確認するような情報を積極的に集めてしまう——これが確証バイアスだ。 暴落時のニュース消費は、このバイアスを強化する方向に働きやすい。
教員が陥りやすい特有の思考パターン
教員の職場文化に由来する思考パターンがある。
「とにかくリスクを取り除きたい」思考。 教育現場ではリスク管理が重視される。 「問題が起きる前に対処する」という習慣が、投資の場面では「含み損という問題を今すぐ解消したい」という衝動につながりやすい。 これ自体は仕事上の美徳だが、長期投資との相性は悪い。
「正解を早く確認したい」思考。 テストには答えがある。 授業には正解がある。 でも投資の「正解」は数年後にしか分からない。 この不確実性への耐性が、他の職業より低い傾向がある人もいる。 「今すぐ正解を知りたい」という欲求が、相場の動きを頻繁に確認する行動につながる。
「周囲に合わせなければ」という空気への敏感さ。 職員室で「NISAやばいね、売った方がいいかな」という会話が出ると影響を受けやすい。 集団の空気を読む習慣が、投資では逆に働くことがある。 投資は「みんなが怖がっているときに継続する」ことが合理的だが、それは教員の職場文化と逆方向の行動だ。
メディアノイズの増幅効果
暴落時はニュースが煽る。 「○○ショック、いつまで続くのか」「専門家が警告、さらなる下落の可能性」。
こういった見出しを毎日見ると、脳はパニックに近い状態になる。 情報の量と質は別物だ。 大量の暴落ニュースは「情報」ではなく「ノイズ」として処理する訓練が必要だ。
暴落時こそ、証券口座のアプリを開く頻度を意図的に下げるのが有効だ。 「週1回しか見ない」とルールを決めておくだけで、心理的負荷は大きく下がる。
3. 教員が暴落に強い3つの構造的理由 {#h2-3}
ここが他の職業と最も違う部分だ。
教員の資産形成は「暴落耐性が高い構造」を元から持っている。 理屈ではなく、職業的な構造としてそうなっている。
理由1. 毎月の給与収入が変わらない
個人事業主やフリーランスは、景気悪化で収入が直撃される。 売上が下がれば、投資を続ける原資が消える。 最悪の場合、生活費のために含み損のある資産を売却しなければならない状況に追い込まれる。
教員の給与は公務員給与として安定している。 暴落が起きても、毎月の積立原資が変わらない。
これは「株価が下がった時期に積立を継続できる」という、長期投資で最も重要な条件を自動的に満たすことを意味する。
リーマンショック(2008〜2009年)の後に積立を継続できた投資家と、生活費のために売らざるを得なかった投資家とでは、2013年の回復時点での資産に大きな差が出ている。 継続できた側は、安値で買い続けた分のリターンが乗っている。
個人事業主の友人がコロナショックのときに「収入が激減して投資を全部止めた」という話を聞いた。 自分は給与が変わらないまま積立を続けられた。 「続けられる構造があること」の価値を、あのとき実感した。
理由2. 共済貯金という専用バッファがある
民間企業勤務者には基本的にない。 これが教員投資家の最強の武器の一つだ。
公立学校共済組合の共済貯金は年0.9〜1.2%前後の利率で、給与天引きで積み立てられる。 この共済貯金を「生活防衛資金」として機能させると、暴落時の行動が根本的に変わる。
「含み損が出ているNISAを売って生活費を確保する」という最悪の選択肢を、最初から取らなくて済む設計が作れる。
詳しくは次章で説明するが、共済貯金100〜200万円のバッファがあるだけで、暴落時の意思決定の質が変わる。
理由3. 定年まで雇用が安定している
雇用不安がないということは、「いつ収入がゼロになるか分からない」という恐怖がない。 この恐怖がある状態では、含み損に精神的に耐える余力が削られる。
教員は定年まで(再任用制度で65歳前後まで)雇用が継続する可能性が高い。 長期の積立期間が最初から保証されているという点で、投資設計が立てやすい職業だ。
20代で始めれば40年近い積立期間が見込める。 30代で始めても30年前後ある。 どの暴落も、この期間の中では短期間の出来事になる。
リーマンショックのような4年かかる回復でさえ、30年の積立期間の中ではたった13%の時間に過ぎない。
4. 共済貯金との二段構え戦略 {#h2-4}
「教員の暴落対応マニュアル」として最も実践的な内容がここだ。
暴落時の資産防衛は、NISAだけで考えると詰まる。 共済貯金と組み合わせた「二段構え」で設計することで、暴落を乗り切る選択肢が大幅に広がる。
基本設計の考え方
| 役割 | 金融商品 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 長期資産形成 | NISA(インデックスファンド) | 売らない・増やし続ける |
| 生活防衛資金 | 共済貯金 | 暴落時の生活費バッファ |
| 緊急予備費 | 普通預金(銀行) | 急な支出に即対応 |
この3層構造が完成していれば、NISAを暴落時に売る理由がほぼなくなる。
共済貯金の推奨残高目安
一般的な生活防衛資金の目安は「生活費の6ヶ月分」とされることが多い。 教員の場合、以下を目安にするといい。
| 状況 | 共済貯金の目安残高 |
|---|---|
| 独身・実家以外 | 生活費4〜6ヶ月分(60〜100万円程度) |
| 既婚・子なし | 生活費6ヶ月分(80〜120万円程度) |
| 既婚・子あり | 生活費6〜12ヶ月分(120〜200万円程度) |
| 住宅ローンあり | 生活費+ローン12ヶ月分 |
この残高があれば「NISAを売らなくても生活できる」という安心感が生まれる。 安心感が、暴落時の冷静な判断を支える。
積立継続と積立停止——どれくらい差がつくか
「暴落中に積立を止めたらどれくらい損するか」を試算で確認してほしい。
仮に月3万円を10年積み立てる計画だとして、2年目に30%暴落が来たとする。
継続した場合の動き:
- 暴落前に積み立てた24ヶ月分は含み損状態
- でも暴落後も月3万円で安く買い続けられる
- 回復時に、安値で仕入れた分のリターンが乗る
1年間積立停止した場合の動き:
- 暴落後の12ヶ月分を買い逃す
- 回復時に元値より高い水準で再開することになる
- 安値期間に買えたはずの36万円分(月3万円×12ヶ月)の買い場を丸ごと逃す
一般的に長期積立のシミュレーションでは、底値付近での積立継続が最終的な資産額を10〜20%程度押し上げるとされる(年利5%・30年運用の仮定)。 具体的な数値は運用環境によって異なるが、「止めることによる機会損失」は確実に存在する。
暴落時の二段構え・具体的な動き方
Step 1: 共済貯金の残高を確認する 暴落が起きたらまず、共済貯金の残高を確認する。 「今から1年間、給与が半減しても生活費は共済貯金でカバーできるか」という視点でチェックする。
Step 2: NISAの積立設定はそのまま維持する 積立設定は止めない。 変更しない。 これが最重要だ。
Step 3: 生活費の支出を一時的に引き締める 外食・レジャーを少し減らして、生活費の消費を抑える。 共済貯金の取り崩しを最小限にとどめる工夫をする。
Step 4: 相場の動きを見る頻度を週1回以下にする 毎日見ると精神的に消耗する。 週1回、もしくは月1回の確認に意図的に制限する。
この4ステップが「共済式暴落対応」の基本だ。
共済貯金とNISAの優先順位
よく聞かれる「共済貯金とNISA、どちらを先に積み立てるべきか」という問いへの回答も整理しておく。
→ まず共済貯金で生活防衛資金を作る。次にNISAを積み立てる。
共済貯金が生活費3ヶ月分に満たない段階でNISAに全力投資すると、暴落時に「やむを得ずNISAを売る」選択を強いられるリスクが上がる。 土台を作ってから上物を建てる、という順序が重要だ。
共済貯金の詳しいメリット・デメリットは「教員の共済貯金はメリットあり?利率・デメリット・NISAとの使い分けを元教員が語る」で詳しく解説している。
5. やってはいけない3つの行動 {#h2-5}
暴落時に「やった方がいいこと」より、「やってはいけないこと」を先に知っておく方が実践的だ。
NG行動①: 損切り全売り
最もやってはいけない行動だ。
「これ以上の含み損に耐えられない」という感情から全売りしてしまうと、含み損が「確定損」に変わる。 その後に相場が回復しても、売却後に再び買い直すには勇気と判断が必要になる。 「安値で売って、高値で買い直す」という最悪のパターンに陥りやすい。
実際にコロナショック(2020年2月〜3月)で狼狽売りをした個人投資家の多くは、3月の底値付近で売却し、その後の急回復(同年8月に最高値更新)を外している。 底値で売って、高値で買い直すという最悪の損失固定パターンだ。
過去の暴落を見てきた通り、長期では回復している。 売却した時点で、回復の恩恵を受けられなくなる。
「含み損は帳簿上の数字であり、まだ負けていない」という認識を持ち直すことが重要だ。
NG行動②: レバレッジ追加・信用買い
「安くなった今が買い時」という判断でレバレッジをかけた商品を追加したり、信用取引で買い増したりするのは危険だ。
理由は単純で、底値は誰にも分からないから。 「ここが底だ」と思ってレバレッジをかけた瞬間にさらに下落する可能性がある。 信用取引であれば追証が発生し、強制決済されるリスクもある。
NISA口座はそもそも信用取引ができない設計になっている。 これはある意味、NISA投資家をこのNG行動から守る安全装置でもある。
成長投資枠を使って個別株を買う場合は注意が必要だが、インデックスファンドの積立を中心にしている限りこの罠に引っかかりにくい。
NG行動③: タイミング売買(積立停止→再開の繰り返し)
「今は下落中だから積立を一時停止して、また上がってから再開しよう」という判断も危険だ。
なぜか。 底値付近で積立を止めると、最も安い時期に買えるタイミングを逃す。 「また上がってから再開」した場合、再開時点の価格は下落前より高くなっている可能性がある。 安値で買えるはずだった期間を丸ごと無駄にしてしまう。
相場のタイミングを読んで売買することで成果を上げ続けられる人は、プロの世界でも少数だ。 個人投資家が「今が底か」を判断するのは事実上不可能と考えた方がいい。
積立設定は、どんな相場でも変えない。これが鉄則だ。
6. 暴落時にこそ確認すべきポートフォリオチェック項目 {#h2-6}
「何もしない」が基本方針だが、「何も考えない」は違う。 暴落時は、自分の資産設計が正しかったかを振り返る好機でもある。
以下のチェック項目を確認してほしい。
チェック1: 生活防衛資金は確保できているか
共済貯金+銀行預金で「生活費の6ヶ月分」は確保できているか。 もしこれが満たせていない状態でNISAを積み立てていたなら、今回の暴落を機に配分を見直す必要がある。
NISA積立を少し減らして共済貯金を積み増す、という選択も合理的だ。 「生活防衛資金なき積立」は構造的に弱い。
チェック2: 積立商品はインデックスファンドか
アクティブファンドや特定テーマのETF(AI株・半導体等)で積み立てている場合、暴落時の回復パターンがインデックスとは異なる。 インデックスファンド、特に全世界株や米国インデックス(S&P500連動)は長期で見た回復実績が豊富だ。
暴落時に「この商品は大丈夫か」と不安になった場合、まず積立商品の中身を確認してほしい。 「何に投資しているか」を把握していないまま暴落を経験すると、パニックになりやすい。
SBI証券・楽天証券でNISA口座を開設してインデックスファンドに積み立てる方法は、「教員のNISAはSBI証券と楽天証券どちらがいい?元教員が比較した」で詳しく解説している。
チェック3: 積立期間は10年以上残っているか
暴落前後の損益に一喜一憂するより、「自分の積立期間の残りは何年か」を確認することの方が本質的だ。
積立期間が10年以上残っている場合、過去のデータに照らせば「暴落の回復を経験できる可能性が高い」。 50代で残り積立期間が5年前後の場合は、資産配分そのものを守りの設計にシフトすることを検討してもよい。
50代教員の出口戦略については「50代教員のNISA出口戦略」で詳しく扱っている。
チェック4: 積立額は生活費を圧迫していないか
「毎月の積立額が多すぎて、暴落前から生活が苦しかった」という状態になっていないか。
月の手取りの20〜30%以内を積立に回すのが、長く続けられる設計の目安だ。 それを超えた積立は、相場が悪化したときに「やっぱり減らそう」という判断につながりやすい。
適切な積立額の考え方は「教員のNISA積立、毎月いくらが正解か」を参考にしてほしい。
チェック5: NISA枠の使い方は合理的か
つみたて投資枠(年120万円)と成長投資枠(年240万円)の使い方を確認する。
暴落時に「成長投資枠で個別株を購入していた」場合、個別株はインデックスより回復が不安定になることがある。 成長投資枠もインデックスファンドに充てている場合は、特に変更の必要はない。
NISA枠の使い方全体については「教員のNISA枠を使い切る戦略」でまとめている。
チェック6: iDeCoとの組み合わせは問題ないか
iDeCoを併用している場合、60歳まで引き出せないという制約がある。 この制約が生活設計に無理を生じさせていないかを確認する。
iDeCoの積立分が多すぎて共済貯金の余裕が少ない、という場合は配分の見直しが必要かもしれない。 「NISA + iDeCo で月8万円」という設計をしていたとして、暴落で精神的に余裕がなくなっているなら、iDeCoの掛金を下限まで引き下げて共済貯金に回すことを検討してもいい。
チェック項目まとめ
| チェック項目 | OK の基準 | 要見直しのサイン |
|---|---|---|
| 生活防衛資金 | 共済貯金+銀行預金で6ヶ月分以上 | 3ヶ月分以下 |
| 積立商品 | インデックスファンド中心 | アクティブ・テーマ型が多い |
| 積立期間 | 10年以上残っている | 5年以内 |
| 積立額 | 手取りの30%以内 | 30%超で生活が苦しい |
| NISA枠の使い方 | インデックス中心 | 個別株が多い |
| iDeCo掛金 | 共済貯金が維持できる水準 | 共済貯金が積み上がっていない |
このチェックで問題が出た場合、暴落後に積立額や資産配分を見直す良いタイミングだ。 ただし「暴落に焦って急いで変更する」のではなく、「落ち着いてから計画的に見直す」が正しい順序だ。
7. 暴落別・状況別の正しい動き方 {#h2-7}
「暴落の規模や状況によって、正しい行動が変わるのでは」という疑問への回答として、状況別にまとめる。
パターンA: 積立開始直後(1〜2年以内)に暴落が来た場合
含み損率が高く見える時期だ。 元本が少ない時期に暴落が来ると、含み損の「率」だけが大きく見える。 100万円の元本が70万円になると「30%の含み損」と感じるが、金額は30万円に過ぎない。
正しい対応: そのまま積立継続。 むしろ安値で買い続けられる最高のタイミングと言える。 この時期に売ると「安い時にたくさん買えたはずの権利」を放棄することになる。
積立を始めて1〜2年で暴落を経験した人は、長期投資家として最も運の良い経験をしている可能性が高い。 安値スタートで長期積立ができるからだ。
パターンB: 積立5〜10年目前後で暴落が来た場合
含み損が金額として大きくなっている時期なので、精神的ダメージが最も大きい。 「100万円が80万円になった」より「500万円が380万円になった」の方が、数字としての痛みは大きい。 でも率で言えば同じ20%の下落だ。
正しい対応: 積立継続。 ただしこのタイミングでポートフォリオのリバランスを検討する余地はある。 株式比率が高すぎると感じたなら、今後の新規積立分を一部債券ファンドやバランスファンドに振り向けることを検討してもいい。
パターンC: 50代・定年10年前後で暴落が来た場合
「回復を待つ時間があるかどうか」という視点が重要になる時期だ。
正しい対応: 積立継続しつつ、出口(売却・受け取り)のスケジュールを見直す。 定年後すぐにNISAを一括で引き出す設計だった場合、暴落タイミングと重なると困る。 受け取り期間を数年延ばせるキャッシュフロー設計があれば、株価の回復を待てる。
共済年金・退職金・個人貯蓄で定年直後の生活費を賄い、NISAは60代後半以降に取り崩す設計が理想的だ。
パターンD: 生活費が急に必要になった(医療費・住宅修繕等)
「NISAを売るしかない」状況に見えるが、優先順位がある。
- 銀行普通預金を先に使う
- 共済貯金を取り崩す
- それでも足りない場合のみ、必要な金額分だけNISAを部分売却する
全売りではなく、必要な金額分だけ売却するにとどめる。 「全部売って安心したい」という衝動は、損失回避バイアスの典型的な発動パターンだ。
暴落時の行動フローチャート
暴落が起きた
↓
生活防衛資金は十分か?
├─ 十分(6ヶ月分以上)
│ → 積立継続・何もしない
└─ 不足(3ヶ月分以下)
↓
NISA積立額を一時的に減らして
共済貯金に回す
↓
積立は止めない(金額を減らすだけ)
このフローで迷うことはほぼなくなる。
証券口座はどこで開くべきか
NISA口座の選択は暴落耐性と直接は関係しないが、運用コストと操作性は長期の結果に影響する。
低コストのインデックスファンドを積立設定しやすい証券会社として、教員に多く使われているのはSBI証券と楽天証券の2社だ。
信託報酬0.1%以下のインデックスファンド(eMAXIS Slim シリーズ・SBI・V シリーズ等)が揃っており、長期で見るとコスト差が最終資産額に影響してくる。 暴落時の対応と同じくらい、「低コスト商品を選ぶ」ことが長期資産形成の基本だ。
SBI証券でNISAを始める場合
楽天証券でNISAを始める場合
どちらも口座開設・管理費は無料。 つみたて投資枠対応のインデックスファンドが揃っており、低コストで長期運用できる環境が整っている。
SBI証券と楽天証券の詳しい比較は「教員のNISAはSBI証券と楽天証券どちらがいい?元教員が比較した」を読んでほしい。
NISA全体の設計から見直したい場合
この記事を読んで「そもそもNISAの仕組みや積立の始め方を整理したい」と感じた方は、ピラー記事「教員のNISA完全ガイド」が全体像を網羅している。
つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け・口座開設の手順・投資信託の選び方まで一本で読める。
また、「積立投資信託の選び方がよく分からない」という場合は「教員の積立投資信託・オルカンの選び方」も参考になる。 オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)とS&P500連動ファンドのどちらが教員に向いているかを、分散の観点から解説している。
NISAとつみたてNISAの制度的な違いについては「教員向けつみたてNISA完全ガイド」で整理している。
まとめ——暴落時に教員がすべきこと、一行で
積立を止めず、売らず、共済貯金を生活防衛に使い、相場を見る頻度を下げる。
それだけだ。
過去のすべての暴落は、長期投資家にとって「安く買える期間」だった。 教員はその期間を乗り越えるための3条件——安定収入・共済貯金・長期雇用——をすべて持っている。
あとはそれを「知識として知っている」だけでなく、「暴落時に実際に動けるかどうか」が分かれ目だ。
この記事を事前に読んでおくことで、「そういえばこれは想定内だった」と思えるようになる。 感情で動かなくて済む準備が、長期投資家としての最大の武器だ。
「絶対に回復する」「必ず儲かる」という保証はどこにもない。 それでも、適切なコスト・適切な分散・適切な期間で積み続けることが、個人投資家にできる最善だ。
その環境が最も整っているのが、教員という職業だと思っている。
Sources: