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教員の年末調整とは(11月配布の書類3種類)
毎年11月になると、勤務先(公立教員なら各学校・教育委員会)から年末調整書類が配られる。
「今年もこれ書くのか」と思いながら適当に記入して出している教員は少なくない。 でも、この書類に正確に記入しないと控除が漏れて、払わなくていい税金を払い続けることになる。
年末調整は「1年間の所得税を正しく精算する手続き」だ。 毎月の給与から源泉徴収されている所得税は仮払いの概算。 年末調整で実際の控除を申告することで、払いすぎた税金が12月または1月の給与で還付される。
教員が提出する主な3種類の書類
| 書類名 | 主な記入内容 |
|---|---|
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 扶養家族の情報・障害者控除など |
| 給与所得者の保険料控除申告書 | 生命保険・地震保険・iDeCoなど |
| 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 | 基礎控除の金額・配偶者の所得確認 |
この3種類がほとんどの教員の基本セット。 住宅ローン控除(2年目以降)は別途「住宅借入金等特別控除申告書」を添付する。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方
この書類は毎年最初に提出する基本書類だ。 扶養している家族がいない独身教員でも、提出自体は必須。
記入必須の欄
A. 本人情報
- 氏名・住所・マイナンバー(生年月日・性別)
- 主たる給与の支払者(勤務先の学校名・所在地)
マイナンバーは記入欄があれば正直に書く。勤務先が管理し、外部には漏れない。
B. 源泉控除対象配偶者
年収2,000万円以下の教員が配偶者を有している場合に記入。 配偶者の合計所得見積額が95万円以下(給与収入なら150万円以下)の場合に該当。
C. 控除対象扶養親族
16歳以上の子ども・同居の親などが扶養に入っている場合に記入。 扶養親族の合計所得が48万円以下(2025年分は引き上げで58万円以下)であることを確認する。
「異動」欄の記入
年の途中で家族構成が変わった場合(子どもが生まれた・就職して扶養を外れたなど)は「異動月日及び事由」欄に記入する。
給与所得者の保険料控除申告書の書き方(生命保険/地震保険/小規模企業共済等)
この書類が一番複雑で、提出し忘れや記入漏れが多い。 各種証明書を手元に揃えてから記入を始めるとスムーズ。
必要な証明書
年末調整の時期(10〜11月)に各保険会社・金融機関から郵送されてくる。
| 証明書名 | 発行元 |
|---|---|
| 生命保険料控除証明書 | 生命保険会社 |
| 地震保険料控除証明書 | 損害保険会社 |
| 小規模企業共済等掛金払込証明書 | 国民年金基金連合会(iDeCo加入者) |
| 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書 | 日本年金機構(国民年金を自分で払っている場合) |
教職員共済の掛金は給与天引きのため、証明書の添付は不要。年末調整書類に記入欄もない。
生命保険料控除の区分の見分け方
生命保険料控除は「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3種類に分かれる。
どの区分に該当するかは契約内容によって変わるため、証明書に「区分」が明記されている場合はそれに従えばよい。 記載がわかりにくい場合は、以下を目安に判断する。
一般生命保険料控除 死亡保障を主目的とした生命保険(定期保険・終身保険・収入保障保険など)が対象。 学資保険のうち、貯蓄性が高いもの(満期金ありの養老保険型)もここに含まれる。
介護医療保険料控除 医療保障・入院保障・がん保険・介護保険・就業不能保険など、「生存中の医療・介護に備える」保険が対象。 2012年以降に締結した保険契約に適用される区分。
個人年金保険料控除 税制適格要件を満たした個人年金保険が対象。 証明書に「個人年金保険料税制適格特約」と記載があるものが該当する。 この特約がない個人年金保険は一般生命保険料控除の対象になる。
控除額は区分ごとに最大4万円で、3区分合計で最大12万円の所得控除になる。 証明書に「当年中に払い込まれた保険料の額」を該当する欄に転記する。
地震保険料控除の記入
支払った地震保険料の全額(上限5万円)が控除対象になる。 「地震保険料」「旧長期損害保険料」のどちらかに分類されるので、証明書を確認する。
社会保険料控除の記入
学生時代に国民年金を自分で払っていた場合や、産休・育休中に国民年金保険料を納めた場合などに記入する。 証明書(日本年金機構から送付)を添付する。
給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書の書き方
基礎控除申告書の記入
基礎控除は原則として全員が48万円受けられる控除だ(所得2,400万円超は段階的に減額)。
記入手順
- 給与収入の合計額を記入(源泉徴収票の「支払金額」欄と同じ金額)
- 給与所得の金額を計算(収入額から給与所得控除を引いた額)
- 給与所得以外の所得がある場合は合算する
教員は給与収入のみの場合がほとんどなので、「支払金額をそのまま書いて、給与所得控除を差し引く」だけでよい。
2025年分から配偶者控除の対象が広がった
2025年分(令和7年分)の変更点を独立して解説する。
2025年分の年末調整から、配偶者控除・配偶者特別控除の所得要件が引き上げられた。
変更前(〜2024年分) 配偶者控除の対象: 配偶者の合計所得 48万円以下(給与収入換算 103万円以下)
変更後(2025年分〜) 配偶者控除の対象: 配偶者の合計所得 58万円以下(給与収入換算 123万円以下)
つまり、パートで働く配偶者が給与収入103〜123万円の間であれば、2025年分から新たに配偶者控除の対象になる。
教員の配偶者がパートやアルバイトで働いているケースは多い。 「103万の壁を意識して収入を抑えていた」家庭も、2025年分以降は123万円まで働かせても配偶者控除が受けられる。
ただし、123万円ちょうどが新しい壁になるわけではなく、123万円を超えると「配偶者特別控除」の範囲(201万5,999円以下)に移行し、段階的に控除額が減っていく仕組みは変わらない。
配偶者の収入が変わった教員は、基礎控除申告書の「配偶者控除等申告書」欄の記入内容を必ず見直してほしい。 前年のコピーをそのまま出すと、新しい要件に合わせた適切な控除額が反映されない可能性がある。
iDeCoの「小規模企業共済等掛金払込証明書」の貼り付け方
iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している教員は、毎年10月頃に国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が郵送されてくる。
この証明書を年末調整書類に正しく反映しないと、iDeCoの節税メリットが全部消える。
記入箇所
「給与所得者の保険料控除申告書」の右下欄「小規模企業共済等掛金控除」
「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の欄に、証明書に記載の「合計額(当年中に払い込まれた掛金の総額)」を記入する。
たとえば毎月20,000円掛金を払っていれば、1〜12月の合計240,000円が記入額になる。 (10月頃に証明書が届く時点では1〜9月分の実績額が記載されていることが多いため、12月末までの掛金を自分で計算して記入するか、12月に証明書が届く場合はそちらを使う)
証明書の添付方法
申告書の裏面に設けられた貼り付け欄に、生命保険料控除証明書と並べて貼り付ける。 または、まとめてクリップで留めて提出してもよい。職場の担当者の指示に従うこと。
iDeCoの節税効果の目安
| 月掛金 | 年掛金 | 年収500万の教員の節税額目安 |
|---|---|---|
| 10,000円 | 120,000円 | 約18,000〜24,000円 |
| 20,000円 | 240,000円 | 約36,000〜48,000円 |
iDeCo全体の仕組み・公立教員の掛金上限については教員のiDeCo完全ガイドを参照してほしい。
教員が年末調整で見落としがちな控除
書類を機械的に記入しているとスルーしてしまう控除がある。
扶養家族の確認漏れ
子どもが今年16歳以上になったのに扶養控除の記入がない、という漏れが多い。 16歳未満の子どもは扶養控除の対象外(児童手当の対象)なので、年齢確認が必要。
教員は異動・転勤が多いため、「前の学校で書いた内容をそのままコピーして出す」習慣がある人がいるが、家族の状況変化を毎年確認することが大切。
別居の親を扶養に入れる
親と別居していても、生計が同一(仕送りをしている)であれば扶養控除の対象になる。 「扶養親族の氏名・住所・続柄」を記入し、生計同一の理由(仕送りの事実)を説明できるように準備する。
遠方に親が住んでいる教員は、この扶養控除を見落としているケースが多い。
障害者控除
教員本人・配偶者・扶養親族が身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を持っている場合、障害者控除が受けられる。
障害の程度に応じて、27万円(一般障害者)〜75万円(特別障害者かつ同居)の控除が受けられる。
ひとり親控除
婚姻歴がない・離別・死別のひとり親で、生計一の子ども(合計所得48万円以下)がいる場合に受けられる控除(35万円)。 給付要件は年収500万円以下(合計所得400万円以下)。
12月後の対応——還付金の確認・確定申告に切り替える必要があるケース
年末調整後の給与(通常12月給与または1月給与)に「源泉徴収税額の還付」として振り込まれるのが一般的。
給与明細の「所得税」欄がマイナス表示になっていれば還付されている。
年末調整後に確定申告が必要になるケース
年末調整が完了した後でも、以下の場合は確定申告が必要または有効。
確定申告の申告期間は原則2月16日〜3月15日。 還付申告(税金が戻るケース)なら1月から申告可能。
FAQ
Q1. 年末調整書類は毎年同じ内容を書けばいいですか?
A. 「前年と家族構成や加入保険が変わっていなければ同じ」でいい部分もありますが、毎年必ず確認が必要です。iDeCoの証明書は毎年添付が必要ですし、配偶者の収入・扶養家族の年齢・障害者手帳の有無などは年度ごとに変わります。
Q2. iDeCoの掛金払込証明書が年末調整に間に合わなかった場合はどうしますか?
A. 翌年2〜3月の確定申告で「小規模企業共済等掛金控除」を申告することができます。iDeCoの節税効果は年末調整か確定申告のどちらかで必ず申告しないと適用されないので、必ずどちらかで処理してください。
Q3. 教職員共済の掛金も年末調整で申告する必要がありますか?
A. 不要です。教職員共済(地方公務員等共済組合)の掛金は給与天引きされており、職場側が自動的に社会保険料控除として処理しています。教員が自分で申告書に記入する必要はありません。
Q4. 年末調整書類を出し忘れた場合はどうなりますか?
A. 出し忘れると控除が適用されずに年末精算されるため、還付額が少なくなる・または追加納税が発生することがあります。翌年2〜3月の確定申告で自分で申告することで、払いすぎた税金の還付を受けることができます。
Q5. 配偶者の収入が103万円を超えた場合、配偶者控除はゼロになりますか?
A. 2025年分から所得要件が引き上げられ、配偶者の給与収入が123万円以下であれば配偶者控除の対象になりました。また123万円超〜201万5,999円以下の場合は「配偶者特別控除」が受けられます。
Q6. 年末調整と確定申告の両方をやっても大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。年末調整で対応できる控除は年末調整で、医療費控除などの年末調整で申告できない控除は確定申告で別途申告する流れになります。
まとめ——教員の年末調整チェックリスト
- 扶養家族の年齢・収入に変更はないか確認した
- 生命保険・地震保険の控除証明書を用意した
- iDeCo加入者は小規模企業共済等掛金払込証明書を添付した
- 別居の親への仕送りがあれば扶養控除に記入した
- 配偶者の収入が123万円以下なら配偶者控除の欄を記入した(2025年分から所得要件引き上げ)
- 生命保険料控除の3区分(一般/介護医療/個人年金)を証明書で確認した
- 障害者手帳の取得・更新があった場合は障害者控除を申告した
節税の全体設計については教員が使える節税完全ガイドにまとめている。 iDeCoの掛金上限・節税シミュレーションは教員のiDeCo完全ガイドを参照してほしい。 生命保険の見直しについては教員の保険見直し完全ガイドも合わせて読んでほしい。
本記事は2026年5月時点の情報です。 最新の制度確認・個別判断は専門家にご相談ください。