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借り換えで得するかどうかは、3つの数字で9割決まる

住宅ローンの借り換えを検討する際、最初に確認すべきは次の3条件だ。

  1. 金利差が0.5%以上あるか
  2. 残債が1,000万円以上あるか
  3. 残存期間が10年以上あるか

この3つがすべて揃っていれば、諸費用を払ってでも借り換えの効果が出やすい。 1つでも欠けると、費用回収に時間がかかりすぎて旨みが薄くなる。

元小学校教員として職員室でよく聞いたのは「今の金利が低いって聞いたけど、借り換えって面倒くさそう」という声だった。 確かに手続きは多い。 ただ数百万単位で利息が変わるケースもあるので、一度は数字を確認する価値がある。

2026年5月時点、フラット35の金利は2.71%(21〜35年・融資率9割以下)まで上昇している。 一方、ネット銀行の変動金利は0.9〜1.1%前後が相場だ。 過去にフラット35や地方銀行の固定で借りた人には、借り換えを検討する余地が生まれている。


借り換えにかかる諸費用の全内訳

「金利が安くなる」だけを見て飛びついてはいけない。 借り換えには以下の諸費用がかかり、これを回収できるかどうかが判断の核心になる。

主な諸費用の内訳

費用項目 目安金額 補足
事務手数料(新借入先) 借入額×2.2% ネット銀行はほぼここが主コスト
保証料(新借入先) 借入1,000万・30年で約19万円 保証料ゼロの銀行も多い
抵当権抹消登記(旧銀行) 不動産1個につき1,000円 + 司法書士報酬2〜3万円 土地・建物で計2,000円の登録免許税
抵当権設定登記(新銀行) 債権額×0.4% + 司法書士報酬5〜8万円 合計で10〜15万円程度
印紙税 1,000〜2万円 借入額によって変わる
繰上返済手数料(旧銀行) 0〜5万円 銀行によって異なる

残債2,000万円で借り換えた場合、諸費用の合計は概ね50〜70万円になる。 これが損益分岐の起点になる。

事務手数料は定率型(2.2%)と定額型(3〜5万円)がある。 借入額が多いほど定率型の負担は重くなるので、候補の銀行で比較してほしい。


損益分岐シミュレーション——具体的な数字で確認する

「得になるのか」を判断するため、代表的な条件でシミュレーションする。

ケース①: 残債2,000万円・残存20年・金利1.5%→1.0%に借り換え

月返済額の変化

  • 借り換え前: 金利1.5%、元利均等返済 → 月96,511円
  • 借り換え後: 金利1.0%、元利均等返済 → 月91,981円
  • 月差額: 約4,530円
  • 年差額: 約54,360円

20年の総利息差

  • 借り換え前の総利息: 約314万円
  • 借り換え後の総利息: 約208万円
  • 利息削減効果: 約106万円

諸費用を差し引いた実質メリット

諸費用60万円と仮定すると、106万 − 60万 = 46万円が実質の得。 損益分岐点は諸費用60万 ÷ 月差額4,530円 ≒ 約132ヶ月(約11年)

つまり借り換えてから11年後から黒字になる計算だ。 残存期間が20年あれば十分に回収できる。

ケース②: 残債1,000万円・残存10年・金利1.5%→1.0%に借り換え

  • 月差額: 約2,200円
  • 10年の利息削減効果: 約26万円
  • 諸費用(小さめ想定): 35万円

この条件だと利息削減効果 < 諸費用になり、借り換えは得にならない。 残債が少なく残存期間も短い場合は、繰上返済を優先するほうが現実的だ。

まとめ: 判断の目安表

残債 残存期間 金利差0.3% 金利差0.5% 金利差1.0%
1,000万円 10年 ✕ 効果薄 △ ギリギリ ○ 要検討
2,000万円 15年 △ ギリギリ ○ 要検討 ◎ 有効
3,000万円 20年 ○ 要検討 ◎ 有効 ◎ 強くおすすめ

借り換え先候補の比較——ネット銀行・地方銀行・フラット35・共済貸付

ネット銀行(変動金利)

2026年5月時点の主要ネット銀行の変動金利は以下の水準だ。

  • 住信SBIネット銀行: 0.84〜1.0%前後
  • auじぶん銀行: 0.9%前後
  • PayPay銀行: 0.9%前後

低金利で借り換えたい場合はネット銀行が最有力候補になる。 ただし事務手数料が借入額×2.2%と高め。 残債が大きいほど手数料負担も増える点に注意してほしい。

地方銀行・メガバンク(固定・変動)

店頭での対面サポートが受けられる。 金利はネット銀行よりやや高い傾向があるが、定額手数料型を選べば諸費用を抑えられるケースもある。 教員・公務員に対して優遇金利を設定している銀行も存在するので、地元の銀行に問い合わせる価値はある。

フラット35への借り換え

2026年5月のフラット35最低金利は2.71%(返済期間21〜35年・融資率9割以下)。 現在の変動金利との比較では割高に見えるが、「今後の金利上昇リスクを固定で封じたい」という目的なら選択肢に入る。

ただし現状のフラット35は過去に比べて金利が高い水準にある。 変動から固定への切り替えという使い方が主なケースになる。

教員向けのフラット35・共済貸付の詳細については 教員のフラット35・共済貸付——金利・上限額・組み合わせ戦略を比較する でまとめているので参照してほしい。

共済貸付(公立学校共済組合)

公立学校共済組合の住宅貸付金利は年1.32%(保証料含む・2026年時点)。 低金利の環境では魅力が薄れるが、ネット銀行の審査に通りにくい状況(転勤直後・勤続年数が短い等)では選択肢になる。

ただし借入上限が1,800万円程度に限られており、借り換え全額を共済貸付だけで賄うことは難しい。 「不足分を銀行で補う」という組み合わせが現実的な使い方だ。


教員特有の注意点

教員が借り換えを考える際、一般的な情報では見落としがちな点がいくつかある。

共済貸付からの借り換えは原則できない

私学共済の場合、他金融機関からの借り換えによる利用は貸付対象外となっているケースが多い。 公立学校共済組合でも同様の制限があるので、現在共済貸付を利用している人は**「共済貸付を使って民間ローンに借り換える」ことを前提にせず**、逆に「民間ローンから共済貸付へ」という流れを確認してほしい。

また共済貸付は退職・転職すると一括返済が求められる。 転職を考えている段階で共済貸付の比率を上げることはリスクになる。

転勤時の対応

教員は転勤が多い。 借り換え後すぐに転勤が決まった場合、以下の点を確認しておく必要がある。

  • 賃貸に出す場合: 住宅ローンは「自己居住」を条件とするものが多く、賃貸転用すると契約違反になるリスクがある。事前に金融機関に相談すること。
  • 単身赴任の場合: 家族が居住継続するなら問題なし。ただし転居届の扱いは確認を。

転勤と住宅ローンの関係については 共働き教員の住宅ローン——ペアローン・連帯債務・転勤リスクをどう乗り越えるか も参考にしてほしい。

連帯債務・ペアローンの解消

配偶者と連帯債務でローンを組んでいる場合、借り換えのタイミングで単独名義に変更できることがある。 ただし単独での審査通過が必要であり、収入・勤続条件によっては難しいケースもある。 司法書士への相談と、変更後の登記費用が別途かかる点を把握しておくこと。


借り換えのタイミングをどう判断するか

金利上昇局面での判断

2024〜2026年にかけて日本銀行が政策金利を引き上げており、変動金利もじわじわ上昇している。 「今より金利が高かった時代に固定で借りた人」は借り換えメリットが大きい。 「変動で借りている人」は今後の上昇リスクを見越して固定への切り替えを検討するタイミングになっている。

ただし、「金利が上がるから急いで固定に切り替える」という判断は焦りすぎの場合もある。 固定への切り替えコスト(諸費用)と、変動金利が今後上昇した場合の追加利息負担を試算して比べることが先決だ。

繰上返済との比較

借り換え諸費用として60万円を使うか、同じ60万円を繰上返済に充てるか。 残存期間が短い・残債が少ない場合は、繰上返済のほうが確実に利息を削れる。

繰上返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」がある。 同じ金額を入れるなら、一般的に期間短縮型のほうが総利息削減効果が大きい。 ボーナス払いの設定変更(減額・廃止)も同時に検討する価値がある。

年末・年度替わりのタイミング

借り換え手続きには1〜3ヶ月程度かかる。 住宅ローン控除の都合で12月実行を目指すケースもあるが、年末は銀行が混む。 教員の場合、学校業務が落ち着く夏休み前後に動くのが現実的だ。

住宅購入全体の費用感を把握したい場合は 教員のマンションvs賃貸——購入コスト・転勤リスク・資産価値を比較する も合わせて確認してほしい。

なお、購入後の固定資産税負担についても 教員が知っておきたい固定資産税・不動産取得税の節税ポイント で整理している。


借り換えの実際の手順

手続きの流れを把握しておくと、動き出すハードルが下がる。

STEP 1: 現在のローン条件を整理する

  • 残債・金利・残存期間・繰上返済手数料を確認
  • 現在の銀行の借り換え制限(自行商品への借り換え不可など)を確認

STEP 2: 借り換え候補を3〜5行比較する

  • ネット銀行の事前審査(無料・複数行同時申込可)を活用
  • 金利だけでなく事務手数料・保証料・団信の内容を比較

STEP 3: 損益分岐点を計算する

  • 「月の返済差額 × 残存月数 > 諸費用合計」であれば借り換え有利
  • 各銀行のシミュレーターと全国銀行協会の借り換えシミュレーターを利用

STEP 4: 本審査・契約

  • 必要書類を揃えて本審査申込
  • 承認後に抵当権抹消・設定の司法書士手配

STEP 5: 実行・旧ローン返済

  • 新ローン実行日に旧ローン一括返済
  • 登記変更完了を確認

必要書類の目安

書類 備考
本人確認書類 マイナンバーカード・運転免許証等
収入証明書 直近2〜3年分の源泉徴収票
返済中のローン残高証明書 旧金融機関から取り寄せ
物件に関する書類 登記事項証明書・固定資産税評価証明書
建物の検査済証 フラット35の場合は追加書類も

教員の場合、源泉徴収票は職場で年1回発行される。 3月・4月に借り換えを動かそうとすると前年分しかない場合があるので注意が必要だ。


よくある質問(FAQ)

Q1. 借り換えの審査は現在の銀行に知られてしまうか?

事前審査の段階では旧銀行に通知されない。 本審査が通り、繰上返済の手続きを始める段階で初めて旧銀行に連絡することになる。 「今の銀行に気を使って申し込みにくい」という心配は不要だ。

Q2. 借り換えの審査にかかる期間はどのくらいか?

事前審査は数日〜1週間程度。 本審査・契約・実行まで含めると、申込から実行まで1〜3ヶ月が目安になる。 年度替わりや年末は混雑するので、余裕をもって動き始めること。

Q3. 変動から変動への借り換えは意味があるか?

金利差と諸費用のバランス次第では有効だ。 たとえば5〜7年前に変動1.5%で借りた場合、現在のネット銀行0.9%との差は0.6%。 残債と残存期間によっては十分に諸費用を回収できる。

Q4. 転勤の可能性があっても借り換えしてよいか?

転勤の可能性がある場合は、借り換え後に賃貸転用や売却が必要になるリスクを考慮すること。 住宅ローンは「自己居住」が原則なので、賃貸転用の場合は事前に金融機関へ相談してほしい。 単身赴任で家族が住み続けるケースなら問題になりにくい。

Q5. 団体信用生命保険(団信)はどうなるか?

借り換えによって新しい銀行の団信に加入することになる。 がん保障・就業不能保障などの特約が旧ローンと新ローンで違う場合があるので、保障内容の変化を必ず確認すること。 健康状態によっては新たな団信の審査が通らないケースもある。

Q6. 借り換えに使えるおすすめのシミュレーターはあるか?

全国銀行協会のローン借り換えシミュレーターが公平で使いやすい。 モゲチェックなどの比較サービスも複数行を一括で試算できるので便利だ。 ただし、シミュレーター上の金利はあくまで「参考値」で、実際の適用金利は審査後に決まる点に注意してほしい。

Q7. 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は借り換え後も続くか?

借り換え後も一定条件を満たせば控除は継続できる。 ただし「借り換えによる増額分」や「借り換え先の借入額が旧残債を大幅に上回る場合」には控除の対象外になる部分が出ることがある。 国税庁の公式Q&Aまたは税理士に確認することを推奨する。


教員クレジットカードとの現金管理

住宅ローンの返済が始まると、日常の現金管理の効率化も重要になる。 ポイント還元率や年会費コストに優れたクレジットカードを使い分けることで、実質的な支出を抑えることができる。

教員におすすめのクレジットカード——ポイント還元・年会費・使い勝手を比較する (PR) で、教員の給与水準に合ったカード選びをまとめている。


まとめ——借り換えの判断は「3条件+諸費用計算」で完結する

借り換えの判断軸を再確認する。

借り換えを検討すべき状況

  • 金利差が0.5%以上
  • 残債が1,000万円以上
  • 残存期間が10年以上
  • 上記が揃っていれば、諸費用50〜70万円を払っても数十〜100万円単位のプラスになるケースが多い

借り換えより繰上返済を優先すべき状況

  • 残存期間が5年以内
  • 残債が500万円以下
  • 諸費用を計算すると元が取れないと試算できる場合

教員特有のチェックポイント

  • 共済貸付からの借り換えは方向が逆(共済→民間は難しい)
  • 転勤リスクがある場合は賃貸転用条件を事前確認
  • 団信の保障内容が変わる点を保険全体で見直す

住宅ローンの借り換えは一度動き出すと書類が大量に必要で面倒に感じる。 ただ、試算して「向こう20年で50万円以上得になる」という数字が出れば、動き出す価値は十分にある。 まず無料の事前審査だけでも入れてみることを勧める。


免責事項

本記事は2026年5月時点の金利・費用・制度をもとに執筆した。 金融情勢の変化や各金融機関・共済組合の規程変更により内容が異なる場合がある。 住宅ローンの借り換えは個人の財務状況・勤務条件・物件状況によって最適な選択が変わる。 実際の借り換えを検討する際は、 ファイナンシャルプランナー(FP)または金融機関の担当者への個別相談を推奨する。 本記事の内容を根拠に生じた損害について、当サイトは責任を負いかねる。


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