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住宅ローンを組んだら、税金はそれだけじゃない

マイホームを買う前に「住宅ローン控除でいくら戻るか」を調べる人は多い。 でも「毎年いくら固定資産税がかかるか」「購入直後に不動産取得税が来ること」は、意外と後回しにされがちだ。

固定資産税は持ち続ける限り毎年かかる。 土地と建物の評価額によっては、年間15〜20万円を超えることもある。 不動産取得税は一度きりとはいえ、申請を怠ると軽減なしで請求が来る。

教員は月給が安定している分、「なんとなく払える」で済ませやすい。 でも内訳を知っておくと、軽減措置の申請漏れを防げるし、 キャッシュフロー計画も格段に正確になる。

この記事では固定資産税と不動産取得税の仕組みを順番に整理した上で、 教員がよく使うフラット35や共済貸付との関係、 納付方法の損得まで一気に書いていく。


固定資産税の基本——「評価額×1.4%」が出発点

固定資産税とは何か

固定資産税は毎年1月1日時点の土地・建物の所有者に課される地方税だ。 自治体(市区町村)が徴収し、標準税率は1.4%

計算式は以下のとおり。

固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 1.4%

「固定資産税評価額」は市場価格(実際の取引価格)とは違う。 土地は路線価などをベースに自治体が算定し、 おおよそ時価の70%前後が目安とされる。 建物は再建築価格から経年劣化を差し引いた額で、 時価の50〜70%程度になることが多い。

3年ごとに評価替えが行われるため、 建物は経年で評価額が下がる一方、土地は地価によって上下する。

都市計画税も加算される

市街化区域内に土地・建物を持つ場合は、固定資産税に加えて都市計画税がかかる。 税率の上限は**0.3%**で、多くの自治体がこの上限税率を採用している。

合算すると標準的な負担は「評価額×1.7%」が基本の計算式になる。


固定資産税の住宅用地特例——土地部分が大幅に下がる

購入した土地に居住用建物が建っている(または建てる予定がある)場合は、 「住宅用地の特例」が適用される。 これは土地の課税標準額を大幅に圧縮する制度だ。

区分 条件 固定資産税の課税標準 都市計画税の課税標準
小規模住宅用地 200㎡以下の部分 評価額の1/6 評価額の1/3
一般住宅用地 200㎡超の部分 評価額の1/3 評価額の2/3

たとえば150㎡の土地、固定資産税評価額2,000万円の場合を考える。 特例なしなら課税標準は2,000万円で、固定資産税は28万円。 小規模住宅用地特例を適用すると課税標準は約333万円に下がり、固定資産税は約4.7万円になる。

この差は大きい。 特例は自動的に適用されるケースがほとんどだが、 更地のままだと特例が外れるため注意が必要だ。 空き地に家を建てるまでの間は特例なしで請求が来る可能性がある。


新築住宅の固定資産税減額——最大5年間、建物が半額になる

住宅用地特例は土地の話だ。 建物には別の軽減制度がある。 「新築住宅の固定資産税減額措置」で、新築から一定期間、 家屋部分の固定資産税が1/2になる。

減額期間の違い

住宅の種類 減額期間
一般の新築一戸建て 新築後3年間
新築マンション(3階建て以上の耐火・準耐火建築物) 新築後5年間

対象は床面積50㎡以上280㎡以下の居住用部分に限定される。 2026年3月31日までに新築した住宅が適用対象だ(現在の制度)。

認定長期優良住宅・低炭素住宅はさらに延長される

一般住宅より厳しい省エネ・耐久性基準をクリアした住宅は、 減額期間がさらに伸びる。

住宅の種類 減額期間
認定長期優良住宅(一戸建て) 新築後5年間
認定長期優良住宅(マンション等) 新築後7年間

長期優良住宅は住宅ローン控除の借入限度額も一般住宅より高い。 固定資産税の減額と組み合わせると、初期数年間の税コストを相当抑えられる。


不動産取得税——買ったときの一度きりの税金

基本の仕組み

不動産取得税は土地や建物を取得したとき(売買・新築・贈与など)に一度だけかかる都道府県税だ。 税率は原則3%(2027年3月31日まで。本来は4%)。

不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 3%

タイミングとしては、取得してから6ヶ月〜1年半後くらいに都道府県から 「納税通知書」が郵送で届く。 住宅ローンの審査が通って引き渡しが終わった頃、 やや忘れた頃に来ることが多い。

「え、まだ税金があるの」と驚く人が多いが、 軽減措置をちゃんと申請していれば実質ゼロになるケースも珍しくない。

住宅に関する特例控除

新築住宅・中古住宅ともに一定要件を満たすと、 課税標準から1,200万円が控除される。

不動産取得税(住宅) = (固定資産税評価額 − 1,200万円) × 3%

要件は以下のとおり。

  • 床面積50㎡以上240㎡以下の居住用住宅
  • 自分が居住する目的で取得すること

評価額が1,200万円以下の住宅であれば、税額はゼロになる。 認定長期優良住宅の場合は控除額が1,300万円に拡大される(2026年3月31日まで)。

土地の軽減措置

土地については評価額が1/2に圧縮されたうえで3%が課税される。 さらに住宅を取得した場合、以下のどちらか大きい額が軽減額として税額から差し引かれる。

  • 45,000円
  • 土地の1㎡あたり評価額 × 1/2 × 建物床面積の2倍(上限200㎡) × 3%

多くの場合は後者の方が大きくなる。 たとえば土地の評価額が2,000万円(100㎡)、建物床面積100㎡なら:

1㎡あたり評価額 = 2,000万円 ÷ 100㎡ = 20万円
軽減額 = 20万円 × 1/2 × 200㎡(100㎡×2の上限) × 3% = 60万円

元の税額: 2,000万円 × 1/2 × 3% = 30万円 軽減額が30万円を超えるため、実質ゼロになる。

申請を忘れると軽減なしで請求が来る

重要なのは、不動産取得税の軽減措置は基本的に申請が必要という点だ。 自動的には適用されない。

取得後、都道府県税事務所に必要書類(登記事項証明書、売買契約書など)を提出する。 手続き期限は都道府県によって違うが、 納税通知書が届く前に申請しておくのが基本だ。 通知が来てから交渉する形でも救済措置がある場合があるが、 早めに動く方がトラブルがない。


取得から納付までのスケジュール

実際に家を買ったあと、いつ何が来るかを時系列で整理しておく。

【引き渡し】(例: 2026年1月)
   ↓
【固定資産税 第1期】(例: 6月ごろ)
   ※引き渡しが年の途中の場合、1月1日時点の所有者(前所有者)に請求が来る
   ※年の途中の精算分は売買契約時に買主が前所有者に支払う慣習がある
   ↓
【不動産取得税の通知】(取得後6ヶ月〜1年半後が目安)
   ↓
【固定資産税 年4回の納付】(4月・7月・12月・翌2月が標準的)

1月1日所有者ベースのルール

固定資産税は「1月1日時点の所有者」に課税される。 12月に引き渡しを受けた場合、翌年1月1日時点では自分が所有者になるため、 翌年度から自分に請求が来る。 逆に3月に購入した場合、その年の固定資産税は前所有者に課税される。

売買の際は前所有者と固定資産税を日割り精算する慣習が一般的だ。 この精算分は税務上「不動産の取得費」として扱われる(売却時の話になるが)。


住宅ローン控除との関係

「固定資産税と住宅ローン控除って何が違うの?」という疑問はよく聞く。

住宅ローン控除は所得税・住民税の還付制度で、 ローン残高の0.7%が最大13年間、税金から差し引かれる。 対して固定資産税は所有すること自体にかかる地方税で、 住宅ローン控除とは別の話だ。

ただし間接的な関係はある。 住宅ローン控除で戻ってくる税額が多い年ほど、 固定資産税の実質負担感が下がる、という視点で合算して考えるのが正しい家計設計だ。

教員の場合、所得税が少ない(課税所得が抑えられやすい)と、 住宅ローン控除で所得税から引ききれない分が住民税から控除される。 住民税から引けるのは控除税額の最大「課税総所得×5%または97,500円のいずれか少ない方」という上限があるため、高所得層より控除メリットが相対的に小さくなるケースがある。

この点は別記事「教員の住民税——計算の仕組みと天引きの流れ」で詳しく書いているので参考にしてほしい。


教員が使うフラット35・共済貸付の留意点

教員がマイホームを取得するとき、民間ローンのほかに2つの選択肢がある。 フラット35教職員共済貸付だ。

どちらを選んでも固定資産税・不動産取得税の仕組みは変わらない。 ただし以下の点には気をつけたい。

フラット35の場合

フラット35を使うと住宅ローン控除の適用条件が若干異なる場合がある。 「フラット35S」などエコ基準をクリアした物件では、 長期優良住宅と同水準の優遇が受けやすく、固定資産税の減額期間延長も狙えることがある。

フラット35と固定資産税の関係については「教員のフラット35・共済貸付——金利と審査を比較する」も合わせて読んでほしい。

共済貸付の場合

教職員共済貸付は民間ローンより金利が低く抑えられるケースが多い。 ただし「住宅ローン控除が適用されない」タイプのプランもある。 控除対象かどうかは借り入れ前に共済組合に確認が必要だ。 固定資産税の軽減措置は融資方法に関係なく受けられる。

共働き教員の場合

夫婦ともに教員で連帯債務や共有名義にする場合は、 固定資産税の課税標準の按分も意識しておく必要がある。 詳しくは「共働き教員の住宅ローン——連帯債務と審査の注意点」を参照してほしい。


固定資産税の納付方法——損しない選び方

固定資産税は年4回の分割払い(第1期〜第4期)か、一括払いが選べる。 納付方法は複数あり、選び方によって少しだが得をする余地がある。

口座振替

手間がかからず、納め忘れがない。 一括振替を選べば1期分の納付書を紛失するリスクもない。 ポイントは付かないが、延滞リスクをゼロにできるのは大きい。

クレジットカード払い

クレジットカードで固定資産税を払うと手数料が発生する(目安: 納税額の約1%)。 ポイント還元率がカードによって異なるため、 還元率が手数料を上回るカードを使わないと損になる。

たとえば還元率1.5%のカードなら0.5%分は得になる計算だが、 年に1〜2回しかない支払いのためにカードを選ぶ人は少ないだろう。 すでに高還元率カードを持っているなら使う価値はある。

クレジットカード選びについては「教員におすすめのクレジットカード——ポイント還元と年会費で選ぶ」も参考にしてほしい(PR)。

スマホ決済(QRコード決済)

eL-QR(エルキューアール)対応の自治体が増えており、 PayPayやd払いなどで固定資産税を払える地域が多くなった。 スマホ決済は手数料無料の自治体が多く、 ポイントが付くキャンペーン時期に合わせて払えばお得になる。

ただし2025〜2026年にかけて、楽天ペイやPayPayなど一部サービスで 税金・公共料金の支払いでのポイント付与が縮小・廃止される方向に動いている。 「先月まで付いていたのに今月から付かない」という変更が起きやすいため、 納付前に各サービスの最新情報を確認するクセをつけておきたい。

結局どれが一番いいか

最優先は「払い忘れない」こと。 延滞税は年最大14.6%という高利率で加算される。 口座振替を基本設定にしておいて、 キャンペーン時のスマホ決済を活用する、という使い分けが現実的だ。


固定資産税・不動産取得税 シミュレーション例

モデルケースとして「土地2,000万円・建物1,500万円の新築一戸建て(100㎡)を購入した教員」で試算する。

固定資産税(初年度)

項目 評価額 課税標準 税率 税額
土地(小規模住宅用地特例) 2,000万円 333万円(1/6) 1.4% 約46,700円
建物(新築3年間1/2減額) 1,500万円 750万円(1/2) 1.4% 約105,000円
合計 - - - 約15.2万円

都市計画税が加わる場合(市街化区域)はさらに土地で約1万円、建物で約2.3万円程度加算される。

不動産取得税(新築住宅)

建物評価額: 1,500万円から1,200万円を控除。

(1,500万円 − 1,200万円) × 3% = 9万円

土地の軽減措置計算(1㎡あたり評価額20万円、床面積100㎡として):

軽減額 = 20万円 × 1/2 × 200㎡ × 3% = 60万円
土地の不動産取得税 = 2,000万円 × 1/2 × 3% = 30万円
軽減額(60万円) > 税額(30万円) → 土地の税額はゼロ

合計: 建物9万円 + 土地0円 = 9万円

軽減措置なしだと「2,000万円×3% + 1,500万円×3% = 105万円」になるところを、 軽減措置で9万円まで圧縮できる。 この差を生むのが申請だ。


FAQ

Q1. 固定資産税の通知はいつ来ますか?

自治体によって違うが、多くは4月〜5月に第1期分の納税通知書が届く。 引き渡し翌年から自分宛に来るようになる。 初年度は前所有者分の精算が売買時に終わっているはずなので、 通知書が来ていきなり全額請求されても慌てなくていい。

Q2. 不動産取得税の軽減申請、タイミングを逃したらどうなりますか?

通知書が届いた後でも、都道府県税事務所に相談すると還付手続きができる場合がある。 ただし時効(5年)があるため、気づいたら早めに問い合わせることが重要だ。 申請を怠ったまま払ってしまった場合も諦めずに確認してほしい。

Q3. マンションを買った場合、固定資産税はどうなりますか?

マンション(区分所有)の場合は、 建物の固定資産税が専有部分と共有部分に按分されて課税される。 新築マンションは5年間1/2減額の対象(3階建て以上の耐火・準耐火建築物の場合)。 土地の持ち分は所有面積が少ないため、一戸建てより土地の税額は低くなりやすい。

Q4. 教員が異動で単身赴任になった場合、軽減措置はどうなりますか?

住宅用地特例は「居住用建物が建っている土地」に適用されるため、 本人が単身赴任中でも家族が住んでいれば特例は継続される。 不動産取得税の住宅特例は「取得時に居住目的があること」が条件のため、 取得後に転勤で住めなくなっても遡って取り消されることは基本的にない。

Q5. 新築から3年たったら固定資産税はいくら上がりますか?

新築3年間の1/2減額が終わると、建物部分の固定資産税が2倍になる。 上記のシミュレーション例(建物部分10.5万円)なら、 4年目から建物分が約21万円になるイメージだ。 土地の住宅用地特例はそのまま継続されるため、土地分は変わらない。 家計計画では「4年目以降に年間10万円ほど増える」として見込んでおくといい。

Q6. 固定資産税評価額はどこで確認できますか?

毎年届く固定資産税納税通知書に「課税明細書」が同封されており、 そこに評価額と課税標準額が記載されている。 取得前に確認したい場合は、市区町村の固定資産税課で「固定資産評価証明書」を取得できる(手数料300円程度)。 不動産会社や司法書士経由で確認することも多い。

Q7. フラット35を使った場合、固定資産税に影響はありますか?

フラット35の借り入れ自体が固定資産税に影響することはない。 ただしフラット35Sなどの省エネ基準適合住宅は、 長期優良住宅認定を取りやすく、固定資産税の減額期間延長(5年→7年等)につながるケースがある。 融資とセットで住宅の仕様を選ぶ際に確認しておくといい。


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免責事項

本記事は2026年5月時点の税制・制度をもとに執筆した。 固定資産税の軽減措置や不動産取得税の特例は改正・延長が繰り返されており、 適用条件・税率・申請期限は取得時点の法令を必ず確認してほしい。 個別の税額計算や申請手続きについては、 税理士または市区町村・都道府県の税務課への相談を推奨する。 本記事の内容を根拠に生じた損害について、当サイトは責任を負いかねる。